短篇 | ナノ

シャンクス


この男と付き合って、3度目の春を迎えた


「なぁ?」

「ん?」


酒好きのこの男が、いつも使う馴染みの居酒屋で今日もデート


「俺達って、もうどのくらい経つ?」

「えっと・・・今年で3年目、かな?」


ワザと忘れてたフリをしてみる


「3年かぁ・・・」

「早かったねぇ・・・」


各々がグラスに口を付けながら呟く


「俺達も年取るワケだな?」

「そうね?」


この男なんて、もうすぐ40に手が届く


「○○○」

「なに?」


グラスをコンとテーブルに置くと、焼き鳥に手を伸ばす


「結婚するか」

「・・・は?」



この男、焼き鳥を頬張りながら、サラリと凄い事を云った気がする


「だから、俺らもそろそろ身を固めるか?って云ってんだよ」

「いや、内容は分かったけど・・・」

「けど?」

「焼き鳥がっついてるオッサンに云われてもねぇ・・・?」

「良いじゃねぇかよ?畏まったのは趣味じゃねぇ」


そう云うと、新しい串に手を伸ばした


「そうですか」


きっと、これはこの男の精一杯の言葉なんだろう


「・・・やる」

「え?」

「それ、やる」

「それって?」


いつの間にかテーブルの上で差し出されたモノに漸く気付く


「サイズ、合ってか知らねぇけど、やるよ」

「・・・何、それ」


小さな小箱に入っているワケでもなく、むき出しのリングを手に取る


「ちゃんと嫁に貰ったら、ちゃんとしたのやる」

「意味分かんない」



“ちゃんとしたのが欲しかったら、嫁に来い”と付け加えて云うシャンクス


「別にちゃんとしたのじゃなくても良いんだけど?」

「そうか?じゃあ、嫁に来ないってことか」

「そうは云ってないじゃん」

「じゃあ、嫁に来てくれんだな?」

私で良ければ


若干、誘導された感じではあるが、この男の言葉に乗ってみようと思った


「イヤって位に幸せにしてやるとは云えないが、人並みに幸せにしてやる」


そう云うと、グラスに入っていた酒を煽っている


「それは楽しみだわ」


人並みに幸せにしてやる、その言葉ってなかなか云えないぞ?フツー


プローズ



「シャンクス?」

「何だ?」

「ちゃんとした指輪、欲しいなぁ〜?」

「良いぞ?」

「超高いの云うかもよ?」

「構わねぇよ?一生に一度のモンだし」

「シャンクスが腰抜かすヤツ、ねだってやる」

「○○○が云うんだったら、買ってやるさ」


そう云って、焼き鳥をまた頬張っているシャンクスをカッコいいと思った自分は

きっと、この男に一生ついて行くんだろうなって思った


END


―――――☆―――――
先日、職場の同僚の結婚式にお呼ばれしまして、

プロポーズのいきさつを聞いたんです。

そのシチュエーションが居酒屋でのプロポーズだったそうで・・・

拝借しました。実にシャンクスに似合いそうで(笑)

次の話も、その結婚式での話ですwww


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