短篇 | ナノ

エース


今日は最悪の日だ…

善かれと思ってした事が、裏目に出た

お陰で残業&上司の説教


「泣けるぜ…」

「どうしたんだよ、○○○?」

「あ?……何でもない」

「んだよ」


同僚のエースを横目に、デスクに項垂れる


「だって、私のとばっちりでアンタまで残業してんだよ?」

「関係ねぇんじゃね?」

「あるでしょ!?」


私のミスで、エースにまで被害が及んだ

定時で帰れた筈なのに、現在、時計は23時を回っている


「あぁ……終わったぁ…」

「ありがと」

「別にかまわねぇよ」

「……結構」

「……?」

「結構……頑張ったのにな…」


頑張ったのに結果が付いて来なかったこと

同僚にまで迷惑を掛けてしまったという思い

何ともやりきれない思いが胸を締め付け、涙が零れた


「……○○○」


エースも少し困り気味だ


「……ッ……ッ」

「あのさ……頑張んなくても良いじゃねぇか?別に」

「え…?」

「だから、頑張んなくたって良いじゃねぇか。これ以上頑張ったら、お前、倒れるぞ?」

「……エース」


エースは二カッと笑い、○○○の頭に手を乗せた


「○○○…お前が頑張ってんのは、みんな充分分かってる。


そう云うと、グシャグシャに頭を撫でた


やめちゃえば?



「頑張るの、やめちゃえば?」

「…でも」

「だぁかぁらッ!!頑張るの禁止!あと、今日はもう帰るぞ?」

「あ……うん」


終電にはギリギリ間に合ったが、座席に着いた途端に肩に凭れかかって寝てしまった君を見て

俺はやっぱり、君には笑っていて欲しい

無理はしないで欲しいって思ったんだ


「あ……乗り過ごしちまった……」


エースも○○○も自分の降りる駅を1つオーバーしたそうだ


END

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