短篇 | ナノ

サンジ


「……ん?」


久し振りに休みが合うから一緒に過ごそう、なんて云ったのは君で

観たいDVDが沢山あるって云ったから、レンタルして来たのも君で


「寝ちまったのか?」

「………」


このご時世、仕事が忙しいのは喜ばしい事なんだが

愛しい人に会えないのは困りもの


「1本も観終わってねぇじゃねぇか…」


最近は、家には寝るためだけに帰っているような状態だって云ってたっけ


「疲れてんだな…?」


肩に凭れる頭を静かに撫でてやると、ニヤッと微笑む


「起きてる…?」


聞いてみても返事はない


「……○○○?」


念のため、もう1度聞いてみるが返事はない

最近の事を考えたら、こんなに落ち着いて過ごしたのも久し振りなんだろうな


「…ッしょ」


既に眠りに堕ちている姫様を抱え、寝室へ向かう


「ゆっくり休めよ?」


そっと頭を撫でたり、布団を掛けた肩をポンポンと優しく打つ


「じゃ、俺は片付けでもするかな……」


暫く、愛しい人の顔を眺めてからリビングへ戻る


おや



− 翌 朝 −


「………サ、サンジ君!?」

「……ん、あぁ……○○○?」

「な、何で一緒に!?……え?え!?」

「寒かったから…」

「布団、取っちゃったモンね…ゴメン」

「良いよ、別に。あ…」

「どうしたの?」

「おはよ、○○○」

「……おはよ、サンジ君」


ちょっとでも長い時間、アナタを見つめていたかったから

そんな理由じゃ、ダメですか?


END

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