短篇 | ナノ

シャンクス


チュン・・・チュンチュン・・・

小鳥がさえずっている

あ、もう朝なんだ

そう思ったけど、身体が動かない


「……○○○?」


ゆさゆさと身体を揺さぶられる


「ん……」


揺さぶる相手の方を向くと、そこには…


「しゃ、シャンク、ス…?」

「ぉう……悪ぃんだけど、どゆこと?」

「え?」

「いや、昨日飲み会だったのは覚えてる。あと、お前も含めて何人かで3次会まで行ったのも覚えてる。けどな?」

「けど…?」

「その先が思い出せねぇんだ…」


ショックだった

確かに、お互い酒は入っていた

でも、気持ちは確かにあるんだと思っていた


「…酔ってたからね、うん。一時の気の迷いって事にしても良いよ。無かったことにしたら?うん、それが良い」


でも、“重い女”にはなりたくない

自分で云って正直傷ついても、シャンクスとの友情はこの先も続けたい


「シャワー行ってくる」

「あ、あぁ」


バタン


「(…何がどうなってんだ?)」


シャンクスは夕べの事を思い出そうと、必死で記憶と辿る


「(ダメだ、やっぱその後が思い出せねぇ…)」


シャンクスは、何があったのかを聞くために浴室に向かう


ガチャ…


「○○○?やっぱり…って、○○○?」

「…ッ、グス…」


○○○はバスタブで蹲っていた


「お前…泣くくらいなら無かったことになんてするなよ」

「だって…シャンクス、覚えてなかった…」

「う…それ云われると辛いな…」


シャンクスもバスタブに入ってくる


「湯、入ってねぇのかよ!?」

「……グス、ッ…」

「○○○…ホント、覚えてなくてゴメン。3次会のあと、何があったのか、ちゃんと教えてくれ」

「…いいよ、もう」

良くねぇよ!

「…シャンクス?」

「確かに覚えてなかったのは悪いって思ってる。言い訳にしか聞こえねぇだろうな。でもよ?ちゃんと、“無かったこと”にしないために、教えてくれよ」

「……ベンさん達と別れた後、シャンクスと歩いて帰ってる時に云ったモン」

「何て?」

「…わたしの、こと…好きって」

「うん」

「嬉しかった…」

「そうか」

「そのまま、シャンクスん家に来て…」

「来て?」

「見れば分かるじゃんッ!バカッ!!」

「……確かに」


○○○の身体には、いくつもの鬱血痕がある


「覚えてないかも知んないけど」

「ん?」

「本気だって云った」

「そうか」

「だから、今日…目が覚めたら、忘れてるなんて思わなかったし…」


○○○は下口唇を噛み、俯く


「ホントにゴメンな?こんなんで…でもさ、本気ってのは本当」

「ウソだ」

「ウソじゃねぇって。覚えてねぇのが残念だけど、お前とシたって信じらんねぇくらい嬉しいんだぜ?」

「ば、バカじゃない!?」

「お前と付き合えるんなら、バカでも良いや」

「………」

「おれと付き合ってくれ!」

「…無かったことに、しなくて良い?」

「無かったことにしないでくれ」


かったことになんて

出来ない



「っくし!」

「風邪か?」

「ずっと裸だったんだからね…」

「…そうだな」

「シャンクス、出てって」

「何でだ?一緒に入ろうぜ?」


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