短篇 | ナノ

ゾロ


我が家のゾロさんは、何というか…淡泊

感情表現も愛情表現も素っ気ないというか、淡泊

今風に云うなら、塩対応?

私、本当に愛されてますかねぇ?


「どう思う?サンジ君」


サンジ君を呼び出して、カフェでまったり相談中


「あの脳筋がめちゃめちゃ感情豊かでも嫌だろ?」

「……うん」


ちょっと考えて、後悔した

ゾロはアレで良いのかもしれない、そう思いながらカフェモカを啜る


「でも!なーんか足りない感じ…そう上手くは云えないんだけどさ?」

「悪いんだけどさ?あのマリモが○○○ちゃんに嫉妬するとは思えねぇんだ…」

「あーあ、サンジ君とまでは行かなくても、ミポリンくらい感情豊かだったらなぁ」

「ちょっと待って!そのミポリンって、鷹の目のことだよね!?」

「そうだけど?」

「いやいやいや、おれには鷹の目も無感情にしか見えてねぇぞ?」

「どこが!?ミポリンはめっちゃ笑うよ?」


爆笑する鷹の目、見てみたい


「○○○ちゃんの勘違いじゃないの?」

「いや、私が雪道で滑って転んだとき、めっちゃ笑ってたよ?」

滑って転んだの!?ってか、大丈夫だった!?


鷹の目、そこは助けてやれよ…


「大丈夫!膝強打だけで済んだから」

「それ、全然大丈夫じゃねぇから!」


今度、コンドロイチン持ってきてやろう…


「でさ、話戻すけど、どうしたら良いのかな?」

「んー…」


2人で思案すること数分


そもそもゾロって、嫉妬するかな?

「そこだよな…」

「もう、諦めよっかなぁ~。別に今のままでも苦労はしてないし」

「それで良いの?」


話は拮抗するばかり

2人は溜息混じりにそれぞれのカップの中身をズズッと啜る


オイ、こんなトコ居やがった

「ブハッ!?」

「うわッ!?ちょ、○○○ちゃん!?」


まったりしている最中に、突然聞こえた当人の声と登場に噴き出してしまった


「ぞ、ゾロ!?」

「マリモ…てめェ、何で居んだよ!?」

「あ?居ちゃ悪ぃかよ、エロコック」

「ってか、よくココ分かったね?迷子にならなかった?

「なるか、バカッ!」

「おい、レディに向かって“バカ”とは何だよ?」

「あ?やんのか、ヘボコック」

「んだと?」

「ちょ、ちょっと!?ここ、街中ですから?落ち着いて!」


この天下の往来での喧嘩だけは避けなければならない

○○○は必死で2人を止める


「おい、帰るぞ」

「はい?」

「帰るっつってんだ。行くぞ」

「え、えぇえええええええ?」


グイグイと腕を引っ張られる形で、カフェから強制ログアウトさせられた


「……案外、感情豊かだったか?クソマリモの野郎」


実は無銭飲食になってしまった○○○の分のレシートも確認しながら、レジに向かうサンジであった



されてます?



「ちょ、ちょっとゾロ!?」

「あ?」

「私、む、無銭飲食なんですけど!?」

「んなモン、ぐるまゆランドに任せとけ」

「ぐるまゆ…ランド?なんじゃそりゃ」

「あ?どーでも良いだろ?帰るぞ」


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