短篇 | ナノ

シャンクス


「○○○〜・・・」


部屋の奥から聞こえる情けない声


「どうしたの?」

「おれ、もうダメかもしんない・・・」


情けない声の持ち主は、夫であるシャンクスだ


もう?いつもじゃない

「・・・ひでぇな、○○○」

「ってのは冗談で、どうしたのさ」

「何か、頭イテェし、喉がイガイガすんだよ」

「・・・」

「おれ、何かの病気かな・・・」

風邪だよ、バーカ!!


シャンクスが、イイ年した大人が風邪って自覚なかった事に驚いた


「さっさと寝ろ、ダメ亭主!」

「はい」

「ほら、マスク!」

「はい」

「ほら、体温計!」

「はい」

「氷枕用意するから、ジッとしてて!」

「はい」


テキパキと指示をする○○○の云うがままに従うシャンクス





*****

「シャンクスー?」


部屋に入ると、寝息を立てているシャンクス


「ったく・・・風邪ひいた事ないんですか?」


氷枕を頭に敷いてやり、差していた体温計を見る


「39.0℃!?・・・バカじゃないの!?」


自覚症状がないだけじゃない

この熱があり得ない


「しゃあない、病院だなぁ・・・」


しかし、自分よりも遥かに大きな、しかも男性であるシャンクスをどうやって運ぶか悩む


「・・・・・・」


無言で携帯を取り出す


「・・・もしもし、ベンさんですか?すみません。○○○です」


溺れる者は藁をも掴む(溺れる者は嫁、藁はベンです)


かぜっ



「頭も頭だな。39℃も熱出して気付かねぇとか・・・」

「ですよね?この人、風邪ひいた事ないんじゃないかって思っちゃいましたよ?」

「・・・ひいたのは見たことねぇな?」

「ベンさんって、付き合い長いですよね・・・?」

「まぁ、な?」

「もしかして、この人バカ!?

バカだな、確実に・・・」


車内で熱にうなされているシャンクスを見ながら、少しだけ結婚を後悔した○○○だった


END

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