サッチ
好きな人は居ますか?
私は居ます
でも、あの人は鈍いのか何なのか気付いてくれません
「○○○ちゃんさ、今度、一緒に海行こうよ」
「へ?」
それは、憧れていた人からのお誘いだった
「い、行きます!是非!!」
「ふふ、じゃあ決まりだな。後で時間とか連絡するから」
「はい。待ってます!!」
そう云われて、舞い上がっていた
・・・が!!人生は、そう甘くはなかった
「“お前ら”ちゃんと飲み物渡ったか!?」
「・・・・・・」
2人きりじゃなかった
「○○○ちゃん?」
「はい?」
「具合とか悪いの?大丈夫?」
「あ、何でもないですよ。ただ、ボーっとしてただけです」
「そう?何かあったら云ってね?」
そう云うと、サッチは再びバーベキューコンロの前に歩いて行く
「ハァ・・・」
「許してやれよい」
「・・・マルコさん?」
すっかり項垂れていると、隣にマルコが立っていた
しかも、プラコップ片手にホロ酔いで
「アイツは、好きな相手にほど積極的に出れないタイプなんでねぇ」
「・・・ハイ?」
「○○○がアイツを好きだって事は、サッチも薄々感付いてるよい」
「え!?」
マルコに云われ、明らかに頬が熱くなったのが分かった
だが、ホロ酔いのマルコの云う事を鵜呑みにしても良いのだろうか?
*****
「○○○ちゃん」
「ハイ」
「ちょっと良いかい?」
「ハイ」
バーベキューも程よく終わり、各々が海辺で遊んでいる
「今日、元気なかったね?」
「そんな事ないですよ?」
まぁ、2人きりじゃなかった事にはガッカリしてしまったが・・・
「嫌、だった?海」
「そ、そんな事ないですよ!むしろ、楽しかったですよ!それに、こちらこそ心配掛けてすみません!」
「ハハ、そっか。楽しかったんなら良いや」
サッチはクシャリと笑った
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
お互いが緊張しているのか、会話が続かない
「「 あ、あの! 」」
会話がぶつかり、噴き出してしまう
「○○○ちゃん、どうぞ」
「サッチさんこそ」
今度は譲り合いが始まる
「・・・○○○ちゃん」
「ハイ」
「こ、今度さ、また出掛けようよ」
「ぁ、はい。喜んで」
「でさ?今度は、マルコ達居ないけど、良いかな?」
「・・・え?」
「おれとデートしてくれ!」
意を決したように、○○○を見れないままで告げる
「サッチさん」
「なに?」
「私で良いんですか?」
「○○○ちゃんが良いんだ」
「・・・サッチさん」
いつものふざけた、おちゃらけたサッチからは想像もつかないほど真剣な眼差しだった
それが気恥ずかしくて、嬉しくて、自分の気持ちを言葉にする事が出来なくて走り出した
「コレ、私の気持ちです!!」
その辺にあった木の棒を掴み、文字を刻んだ
砂浜に描いたLOVE
「・・・ッ・・・」
「ずっと・・・ずっと好きでしたぁああああッ!!」
サッチにではなく、海に向かって叫んでしまった
「ぉ、おれもだぁああああああッ!!」
○○○の告白の返答で、サッチも海に向かって叫んだ
「なぁマルコ、おれ、出て行きにくいんだけど・・・」
「おれもだよい」
海で泳いでいたエースとマルコが、口唇を真っ青にしながら暫く待っていたのを2人は知らない
END
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