短篇 | ナノ

マルコ


『○○○、おれがお前を嫁にしてやるよい!』

『うん、約束だよ?マルコ!』


最悪の目覚めだ


「・・・何が楽しくて」


朝から溜息しか出ない

5歳の時に交わした約束を、今でも引きずっているとでもいうのか?


「何でマルコなんだよ」

「・・・おれじゃ不満かよい」

「あぁ、不満だ」

「そうかい。なら、他の男トコでも行けば良いよい」

「本当に行ったら泣くくせに」

「・・・泣かないよい」


少なからず、幼馴染であるこの男

今では恋人と呼ぶには腐りきっているであろう縁で、一緒に暮らしている


「どうせ出て行っても、サッチのトコが関の山だよい」

「サッチは優しいもん」

「残念。サッチは昨日から出張だよい」

「・・・あぁそう」

「いい加減、寝ろ」

「うわッ!?」


実に色気のない声だ


「何で、こんなのに欲情するんだろうねぃ?」

「マルコが変態だからじゃない?」

「なら、お前も変態だよい」


眉間に皺を寄せ、いつの間にか○○○を下にするように組み敷いていた


「ねぇ」

「ん?」

「覚えてる?」

「何を?」

「約束」

「何の?」

「5歳の時の」

「随分昔の約束だねぇ」

「覚えてないの?」

「何を約束したか・・・あの頃はいろんな約束してたよい」


覚えていたのは私だけなのか?

ってか、マルコがいう“いろんな約束”っていうのは

“明日は公園でヒーローごっこをする”とか“今日は一緒に鬼ごっこやる”とかの約束なんだろうな…


「もう良い」

「何がだよい?」

「あんな約束、信じてた私がバカだったわ・・・」


マルコを見上げると、自然と涙が溢れた


「おれがお前を嫁にしてやるよい」

「・・・マルコ?」

「返事は?」

「・・・」

「返事」

「は、はい・・・」


驚きのあまり、間の抜けた返事をしてしまった


「こんな色気のない状況で云うつもりなかったよい」

「ってか、覚えてたの?」

「ガキん頃の約束だと思ってたろうが、おれは本気だったよい」


約束のキス



「・・・私、もしかしなくても愛されてます?」

「コレ以上の愛情表現はないよい」

「デスヨネー」

「ってか、お前は信じてたのかよい」

「うん。ずっと信じてた」

「・・・参ったねぇ」


口元が少し緩ませ、ふんわりと口付けた


END

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