短篇 | ナノ

サンジ


「あぶねぇッ!!」

「え?」


神様、私の人生はたったの17年と11ヶ月で終了ですか?

死亡フラグ、どこにあったんですか?

でも最後に見えたのが、サンジ君で私は幸せでした。

あ、お母さん、DVDを●オに返却しておいて下さい。因みに明日までに返却しないと延滞料金です。新作なんでご注意を!

あとお父さん、父の日に用意していた筈のプレゼント、実はまだ机の中に入ってます。後で見て下さい。特に凄い物でもありませんが、役立てて下さい。

それから、みっちゃん、借りてたCDは机の3番目の引き出しに入ってます。勝手に開けて持って行って下さい。でも、2番目の引き出しは開けないでね?見たら呪います。


「大丈夫か?」

「○○○!大丈夫!?」

「ちょっと、○○○!?」

「先生呼んで来い!あと、保健委員!!」

「サンジ、何があったんだよ!?」


遠のく意識の中、皆の慌てる声が響いていたが次第に小さくなっていった


「・・・ぅ」

「■■■?」

「ココは?」

「保健室だ」

「どうして・・・」

「さっき、おれが蹴ったボールがお前に・・・すまなかった」

「あぁ、体育の時間だったもんね。大丈夫、私、ほら、元気だし。それに、ちょっとドンくさいっていうか」

「女にケガさせるなんて・・・マジでカッコ悪ぃ」


サンジは苦虫を潰したように奥歯を噛み締めた


「大丈夫だよ、サンジ君」

「お前、先生来たら病院行けよ?」

「そんな大げさな・・・」

「頭打ってんだぞ?あとから来る事もあるんだ、ちゃんと検査受けろ」

「・・・分かった。ゴメン」

「お前が謝るなって・・・こっちこそ、ゴメン」


少し力強く抱きしめられた


「具合、悪くないか?」

「うん」

「良かった・・・」


頭に手を乗せ、ポンポンと数回撫でる


「ヤベェ・・・」

「どうしたの?」

「こんな時だってのに」

「ん?」

「目、閉じろ」


そう云うと、少しずつ顔が近付いて来る


ガラガラッ!!

「 ■■■さん!私と病院行くわよ!! 」



「「 !? 」」


あと少しで口唇が重なり合うであろう寸前で、保健医が入ってくるというオチ


「あ、あぁ、ハイ。今行きます」

「・・・チェ。行って来いよ」

「うん。行って来ます」


○○○は苦笑いをしながら、保健室を出て行く


「まぁ、良しとするか」


サンジは何故か満足げに微笑んだ


二回目のキス


- 放課後 -


「とりあえず、異常はないって事で」

「そうか。良かったな」

「うん。でも、1週間は注意しなさいってさ」

「だろうな?」

「何か不機嫌じゃない?」


検査が終わり、いち早く結果を伝えに来た○○○

しかし、サンジはどこか不機嫌そうだった


「いや?1週間は無理出来ねぇって事だからな?」

「部活も休ませて貰う事にしたの」

「そうか。じゃあ、尚更だな」

「何が?」

「お前とキスしたかった」

「ッ!?」


突然の発言に、周りを見回してはあたふたとしている


「ハハハ、冗談だ。暫く充電は出来たしな?」

「え?」

「あ、知らねぇか。さっきの保健室の未遂の前に、実は1回してる」

「・・・えぇええええッ!?」

「寝てる間にすまねぇな」

「ちょ、えぇ!?」


脳震盪を起こす前に駆け巡った走馬灯、綺麗な思い出、返して下さい


END

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