短篇 | ナノ

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足を進めると、家の方から怒鳴り声が聞こえてくる


「ココか?」


ドアに手を掛けると、怒鳴り声は更に大きく聞こえた

しかし、違和感がある

怒鳴り声は、老人の云う通り母親なのだろう

では、○○○は?


「・・・・・・ッ」


嫌な予感が体中を支配する中、ドアを開けた


「誰だよ、アンタ!」

「・・・お前が○○○の母親か?」

「だったら何だってんだい?アンタ、○○○に何の用事だってんだよ?○○○なら、ほら、そこに居るだろ?」


母親が指差す先の床で転がっている物体が、○○○だと気付くのに時間が掛かってしまった


「○○○ッ!!」

「・・・ぁ、う」

「おい、○○○」


母親が手にしているモノを見て、それで殴られたのだろうとすぐに分かった


「お前が、○○○をこんな風に虐待してたのか?」

「虐待?違うよ、私は○○○がバカだから躾けてやってんだよ」

「躾?それにしては、度が過ぎてるな?」


○○○を抱え上げると、○○○が朦朧としながら訴え掛ける


「キャプ・・・テン?」

「行くぞ、○○○。診察だ」


そのままドアを目指す


「ちょっと待ちなよ!アンタ、人ん家の子を連れ出して何しようってんだい?」

「おれは海賊だ。おれが何をしようと勝手だろ?」


この母親が、こうして○○○を虐待していたから右目がほぼ見えない状態だったと理解した


「キャプテン・・・ダメ、殺さ、ないで・・・」

「どうしてだ?」

「ダメ・・・」


お前の事をこんなに痛めつけていたヤツだぞ?


「ROOM・・・」


○○○の訴えも聞き入れられない程、おれは怒りに満ちていた


「何だい、コレ!?」

「キャプテン、ダメッ殺したら・・・戻れなく」


シャンブルズ・・・


「ぎゃぁああああああッ!!」

「ッ!!」


“殺したら、戻れなくなる”

○○○はそう云いたかったのだろう

だが、おれは海賊だ

今までも、何度も気に入らない奴の命を奪って来た

もう覚えちゃいない


「すぐに治療だ。船に戻るぞ」


○○○は何も発さずに黙って頷いた


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