短篇 | ナノ

被害者多数


いぃぃやぁあああああッ!!


モビーディック号は今日も平和です


「サッチ、うるせぇよい」

「黙れ、フランスパン」

「ってか、黙れ?」


マルコ、イゾウ、ハルタに順番に暴言を受ける


「おれ、今、絶対可哀想・・・」


サッチが呟く


「って、そうじゃなくて、大変なんだよ!!」

「何が?」

「エースが」

「エース?」

「あぁ!酔っ払った!!」

「いつもじゃん」


サッチ以外は誰も危機感を持っていない


「エースが、エースが酔っ払ってキス魔になっちまってんだよ!!」

「「「 ・・・マジか(よい)(で)!? 」」」


3人も漸く事態の重大さに気付かされた










*****


「た、隊長?もうやめましょ?ね、ほら、ビスタさんが青ざめてます・・・」


○○○も青ざめてます


「い・や」

「そんな可愛い云い方してもダメですから!!」


ヒラ隊員の○○○にはどうにも出来ない事態である


「ちゅー・・・」


口唇を突き出し、あまつさえ目も閉じて迫って来るエースを見てビスタは困り果てている


「誰だ・・・エース隊長にこんなになるまで呑ませたのはぁあああああ・・・」


○○○は頭を抱える


「○○○!」

「あ、サッチさん」

「お前は大丈夫か?」

「あ、ハイ。でも、ビスタさんが・・・」

「・・・あ」


遠くでビスタがホッペにキスをされまくっている


「サッチだ」

「ゲッ!!」

「隊長、もう休みましょう?ね?」

「や・だ」

「ぶりっ子しても許しませんッ!帰りましょう!!」

「やだやだ」


ダダッ子のようにイヤイヤするエースを、可愛いと思ってしまう○○○


「エース、○○○を困らせんなって・・・な?」


サッチがエースの肩をポンと叩く


「サッチィ・・・ちゅー」

「え、エース?・・・ちょちょちょ、待って、ね、やめよう?ね、エース」

「隊長、サッチさん!あ、あぁああああああああああッ!!」

いぃぃやぁあああああッ!!


あっさりとサッチの口唇が奪われてしまいました



*****



「ってワケなんだよ!!」

「・・・なんだ、そんなことかよい」

「お前が犠牲になってんなら、おれらは要らねぇな?」

「ってか、○○○を一人にしとく方が問題じゃない?」


ハルタの一言で、その場に居る男たち全員が凍りついた


○○○ーッ!!


全員が叫ばずにはいられなかった






「エースッ!!」

「○○○、無事かよい!?」

「ってか、公然わいせつだぞ、それ!!」

「ビスタで我慢しておけよ!!」


扉を勢いよく開け、部屋に入ってくる


「あ、マルコぉお」

「エース、おい、いい加減に・・・」

「ちゅー・・・」


予想外に素早いエースにあっさりと口唇を奪われる


「・・・・・・・・・」


マルコは最早、言葉にならなず固まってしまった


「イゾーだぁ」


獲物を見つけたように、エースの目は輝いている


近寄ったら、撃つぞ?


イゾウは持っていた銃をエースの額に当てる


「い、イゾウさん!?」

「それやり過ぎだって!!」


○○○とサッチはオロオロしている


「イゾー・・・ちゅー・・・」


口を尖らせ、シュンと項垂れる


「そんなにしたいなら、サッチで我慢しろ」

「・・・ふふふ」


満面の笑みでサッチを見るエース


「ちょっと、イゾウ!?」

「サッチィ・・・ちゅー」

「いや、い、いやぁあああああッ!!」


こうしてサッチは犠牲になったのだ


「あ、○○○・・・ふふふ」

「た、隊長?」

「ちゅー・・・」


エースが迫って来る


「た、隊長・・・」


身構えてしまう○○○


「・・・いい加減に・・・しなさぁあいッ!!


○○○の怒鳴り声と共に、大きな破裂音が聞こえた


「さ、隊長、とっとと休みましょう?」

「・・・・・・・・・」

「○○○?何したの、エースに」

「ビンタです」

「へ?」

「ビ・ン・タ♪」


○○○は微笑むと、エースの首輪(?)を掴み部屋を出た





- 次の日 -


「ホンット、マジでゴメンッ!!」

「いや、いいよ・・・もう、傷を抉らないで・・・うん」


サッチの心の傷は意外と大きいらしい


「マルコ、ホント、ゴメン」

「・・・良いよい」


マルコは何と云って良いのか迷っていた


「隊長?もう酔っ払うまでお酒呑むの禁止ですッ!!」

「・・・・・・気を付ける」

「何でオヤジの酒を呑んじゃうんですか?」

「知らなかったんだよ。あ、ビスタにも謝って来ないと」


エースはビスタが居るであろう場所へ走って行く


「何で男にキスされにゃならねぇんだよい・・・」

「ホントだよ。出来る事なら美女にされたかったな」

「うちの隊長がすみませんでした・・・」


○○○がマルコとサッチに頭を下げる


「○○○が謝る必要ねぇよい」

「そうだよ。ビンタかました位だし」

「ってか、サッチ。お前、久々のキスが美女じゃなくて残念だったろうけど、若いヤツで良かったな?」

「いやいやいや!エース若いけど、男子ですから!!」

「ふふ、良かったですね?サッチさん」

「良くないから!!」


こうして、エースには禁酒令が敷かれた


END

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