短篇 | ナノ

サッチ


「女ざかりは19だな」

「・・・は?」


世の中の女の子、聞きまして?

このフランスパン、何て云ったか聞きまして?


「だから、女の子の1番輝く時期って19歳ってこと」

「・・・死ね、フランスパン

「何それ!?酷いんですけど!!」

「いや、明らかに今の状況だと、お前が悪だ。悪以外は認めん!!」


19なんて遥か昔に過ぎ去っている女を、しかも彼女を目の前にして云うセリフか!?


「何で怒ってんの?」

「自分で考えろ、腐れフランスパン」

「・・・・・・思い浮かばないんですが?」

「お前の頭はニワトリ以下か!?さっき云った事を思い出せ!」

「・・・・・・あぁ」


充分に間を取って、出て来た言葉が“あぁ”ですか!?


「おい、フランスパン、そこに正座しろ」

「○○○さ〜ん?今、もしかして激しく怒ってらっしゃいますか?」

「怒ってないぞ〜?女の敵を殲滅しようと燃えているんだ〜

「うわぁあああ!ゴメン!」


ちょっと涙目で土下座するサッチ

自慢のフランスパンが少し潰れていた


「私がオバさんになっても、呑み屋とか人前に連れてってくれるの?」

「・・・何が?」

「連れてってくれるの?」

「当たり前じゃない」


サッチはキョトンとしている


「でも、私、ミニスカートとか履けないよ?若い子みたいな格好も出来ないよ?」

「平気でしょ」


どう平気なのかは置いといて、キョトンとしているサッチを見てこちらも毒気を抜かれてしまった


「私がオバさんになっても、ドライブしてくれる?」

「どっか行きたいの?」

「そうじゃなくて、オバさんになっても一緒に出掛けてくれるの?」

「出掛けるよ?何、○○○、引き籠り希望なの!?」


1発拳骨をお見舞いすると、サッチは頭を抱えた


「オープンカー」

「・・・へ?」

「オープンカーでカッコよく走ってくれるんでしょ?」

「・・・当たり前じゃん!」


目を細めて笑うと、スッと手を伸ばし捕まえられた


「さっきのあれ、冗談」

「・・・何が?」

「女ざかりは19ってヤツ」


そう云って、何食わぬ顔でキスをした


オバさんになっても



「サッチの発言、世の女の子にバラしてやりたいよね・・・」

「ちょ、マジやめて!」

「あのサイテー発言で、世界中から嫌われてしまえば良いよ」

「ホント、ゴメンなさい・・・」


サッチのライフは、既に0でした(笑)


END

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