短篇 | ナノ

マルコ


「マルコ、話があるんだ」

「何だよい」


飯も済ませ、まったりと過ごす時間

それが突然、緊迫したのはほんの数秒前だ


「別れよう」

「・・・は?」

「私達、終わりにしよう」

「ちょっと待てよい!何でいきなり」

「いきなりじゃないんだ」

「え?」

「実は、1ヶ月くらい前から云おうと思ってたんだ。でも、なかなか云い出せなくて」

「何だよ、それ・・・」


○○○は申し訳なさそうに、でも心配させまいと得意のヘラヘラ顔をしている


「マルコは一切悪くないんだ。私が・・・私の我が儘なんだ」

「・・・・・・」

「本当に悪いって思ってる。マルコには良くして貰ったし、感謝しきれない位の感謝でいっぱいだ」


俯きながら紡ぐ言葉は、徐々に涙に濡れる


「私の物は、棄てて構わない。今すぐ出て行くから・・・」


立ち上がろうとする○○○の腕を掴む


「待てよいッ!納得、出来ねぇよい」

「分かってよ・・・ッ」

「分かんねぇよいッ!」

「マルコッ!お願いッ!」


いつになく大声を上げ、必死に懇願する○○○


「・・・ッ!」

「○○○ッ!?」


掴んでいた手を振りほどき走り去る○○○


「ハァ・・・ッ・・・ぅ」

「○○○、お前まさか・・・?」

「違う。違うよ、マルコ」

「いつからだ?」

「違うよ?何云ってんの?」


洗面所に走り去る○○○

何てベタな展開なんだ、と思ったが○○○が云い出した別れの理由が分かった気がした


「子供、出来たんだろい?」

「ッ!!」

「おれの子か?」

「・・・・・・」

「何で・・・隠そうとしたんだよい?」


沈黙は肯定


「・・・」

「○○○」

「マルコ、云ったから」

「・・・何を?」

「“子供は要らない”って・・・この間、云ったから。だから・・・」


○○○は呟くと、唇を噛む


「・・・・・・あ」


暫く考え込み、そんな事を云っただろうか?と思い直してみると確かに云っていた


「それは・・・その、おれはお前と結婚しても暫く子供は要らないっていう意味だよい・・・」


自分の云った事で、○○○がこんなにも追い詰められていたのかと後悔した


「え・・・?じゃ、じゃあ・・・」

「別れるなんて云うなよい」


静かに腕を引き、自分の懐に収める


おれと、結婚してください


強く抱き返しながら頷く○○○を、これから守って行こうと決めたんだ


ロポーズ作戦


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