短篇 | ナノ

ロー


「・・・何だ?」


自分の足元に群がる子供たちを見て一言


「ちょ、ちょっと!ロー先生、園児たちがビビッてますから!!」

「なら、■■■がやれば良いだろ?」


スッと子供達の群れを抜ける


「・・・さ、皆、ホールに行きましょうね?」


若干ビビっている子供たちをホールへと促す










「ロー先生?」

「・・・何だ」

「さっきのは酷いですよ?ただでさえ無愛想なのに、目つき悪いですよ!?子供たち、ビビっちゃってましたから!」

「知らん。俺は0歳児組の担当だからな」

「だからですよ!3歳児組はロー先生を殆ど知らないんですから、珍しいに決まってるじゃないですか。なのに、あんなに睨まれちゃって・・・」


■■■がブツブツとボヤいている


「別に」

「え?」


職員室で茶を飲みながら日誌を書いていると、突然ローが声を出した


「別に睨んでいたつもりはねぇよ」

「・・・めっちゃ睨んでましたよ?」

「それは、視力の問題だ」

「メガネ、しましょうよ」

「・・・壊れた」

「何で!?」


メガネって、そんなに簡単に壊れるものなの!?


「今朝、寝惚けて踏ん付けた・・・コンタクトは買ってねぇから切らしてた」

「・・・それは残念でしたね」

「物を見ようとすると、自然とそうなるんだよ」

「予備も、無いんですか?」

「ねぇ」


だから今日は事務作業のみなんだ、と最後に付け足している


「ロー先生、意外とドジっ子なんですね?」


しっかり者なイメージだったため、メガネを踏ん付けたなどのエピソードが結び付かない


「■■■、お前、明日、覚えてろよ?」

「え?何でですか?」


自分がローに火を点けたとは思っていない


「明日は眼鏡で来てやる」

「何で!?コンタクトで良いじゃないですか!」


何故、メガネ出勤なんだ!?疑問でしかない


「ロー先生、ミルクの時間になるんで行きましょう」

「あぁ」


同じ組の先生に呼ばれ、席を立つ


「明日が楽しみだな・・・」


隣の席の■■■の耳元で、小さく囁くと職員室を出て行った


「◎▽×□〒♪#%&ッ!?」


突然、耳元で囁かれた事に驚き言葉にならなかった


父さん



- 次の日 -

園児たちの群れが園庭に見えた


「何やってんのかな?」


その群れが何かを確かめようと、■■■も園庭に出る


「せんせぇ、ほんと!?」

「すげぇー!!」

「ぼくにもかしてぇー」


園児たちの嬉々とした声が聞こえる


「あぁ、本当だ」


園児たちの中心に居たのは、紛れもなくローだった


「コレはな、魔法のメガネなんだ。コレを掛けると何でも見えるんだ」


ローはニヤリと笑う


「ッ!?(何でこっちを見るんだッ!?)」


ローと目が合うと、思いっきり目を逸らしてしまう


「例えば、そこに居る■■■先生の心の中とか、な?」


不敵な笑みに■■■は、口をパクパクさせる事しか出来ない

そんな姿を見て、ローが近付いて来る


「“ちょっとイイかも”なんて思っただろ?■■■先生?」


園児たちには到底聞こえない声で囁かれた


「なッ!?」

「じゃ、今日の夕方な」


ローはそのまま自分の組へ戻って行く


「せんせぇ、ろーせんせぇって、まほうつかいなの?」


園児がエプロンを引っ張りながら訊ねる


「・・・多分、そうかも」


少なくとも、あのメガネは魔法のメガネだと思う・・・


END





*****

ローさんが外科医じゃなかったら、私は保父さんになって欲しいと思っています。ついでに、メガネして下さい!目が悪いのは、私の希望なんで実際のローさんは分かりませんが、きっと似合います!

ってか、話が保育園絡みで2つ続いてしまいましたが、描いてて楽しいです。


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