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冒険の夜明け
「お前さん、本当に良いのかい?」
「ハイ」
「ここを辞めて、どこに行く気なんだい?」
「まだ決めてません。でも・・・あの家は出るつもりです」
「そうかい。だが、アイツが黙っちゃいないよ?」
「そうですね・・・でも、父には云ってませんし、内緒です」
「まったく・・・親が親なら、娘も娘だよ。とりあえず、センゴクには出しておくよ」
「ありがとうございます。おつるさん」
■■■が深々と頭を下げると、つるが溜息を吐く
「ところで」
「・・・?」
「■■■、海軍を辞めて何をする気なんだい?」
「私・・・もっと世界を見てみたいんです!海軍という組織に居ては、それが出来ないから」
「・・・まさか」
「空白の100年、歴史の本文・・・それらを解き明かしたい。でも、古代文字なんて、私は分からないから」
「では何を?」
「海軍に所属して世界を見て来た・・・だけど、違う角度から世界を見たら、きっと違う世界なのかも知れないって思ったんです」
真剣な眼は、つるを捉えて離そうとしない
「海軍とは違う角度・・・お前、海賊にでもなろうってのかい?」
「海賊になるつもりはありません。でも、必要なら海賊にもなる・・・」
「その時は、どうなるか分かってんだろうね?」
「覚悟の上です」
決断をした人間の眼とは、こうも鋭く射抜かれそうなものなのか?
そう感じながらも、手元にある辞表を見るつる
「そうかい・・・私は話を聞くことは出来ても受理する権限はないよ?」
「おつるさんが受け取ってくれたら充分です。私、元々この世界の人間じゃないし・・・ホント、良くしてくれてありがとうございました!」
再度、つるに深々と頭を下げる■■■
「行っておいで、バカ者が」
「ハイ!行って来ます!!」
つるの部屋を出ると、そのまま帰路に着いた
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