Romance Dawn | ナノ

B


「(ココか・・・?)」


■■■は、今だかつて入った事のない部屋の前に立っている


「し、失礼します」


ノックをすると、奥からくぐもった声で“どうぞ”と聞こえる


「あの・・・お呼びですか?」

「あぁ、ちょっとな?ま、適当に座ってくれ」

「ハイ」


■■■は近くの木箱に腰を掛ける


「あの・・・何かご用ですか?副船長まで」


自分の目の前には、船長と副船長が構えている

正直、怖くない筈がない


「単刀直入に聞く。■■■、お前は何者だ?」

「え・・・?」


ベンの質問に、どう答えたら良いのか戸惑う■■■


「何故、海軍に追われている」

「・・・ッ」


ベンに睨まれるように見られ、何も云えなくなっている


「何故・・・えっと」

「もしかして、お前も海賊か何かか?」


二の次が出ない■■■を見兼ね、シャンクスが助け船を出す


「海賊ではない」

「じゃ、何だ?」

「ベン!」

「・・・えっと、その・・・」


俯くと、何も云えなくなってしまい黙り込んでしまった


「質問を変えよう。お前、海軍側のスパイか何かか?」

「違うッ!!」


下げていた顔を、勢いよく上げるとベンに食ってかかるように叫んだ


「スパイなんかじゃない・・・それだけは信じて欲しいです」

「・・・お前は能力者だ。良くも悪くも狙われ易い。おれ達は今、海軍を相手にしているほど暇じゃないんだ。急いで行かないとならない場所があるんだ」


シャンクスは俯く■■■の頭に手を乗せる


「・・・私、あの・・・」

「ゆっくりで良い。頭もおれも、お前の口から聞いた事だけを信じる」


ベンは窓の外を見ながら、煙草に火を点ける


「あの、私・・・この世界の人間じゃないんです

「「 ・・・は? 」」


流石に驚いた2人


「今から10年くらい前です。突然、こっちの世界に飛ばされてしまったんです・・・原因も分からないし、帰り方も分からず今に至ります」

「どっかの島で聞いたことはあったが、そんな人間、ホントに居たんだな!」

「ワクワクするな、頭」

「だってよ、この世界の人間じゃねぇんだぞ?スゲェじゃねぇか!」


シャンクスは少年のように好奇心いっぱいの目で、■■■の話を聞いている


「私は、こっちの世界では海軍本部所属の少尉として働いてました。直属の上司は海軍中将・つるさんです」

「・・・海軍本部、少尉ぃい!?」

「中将・つるって云やぁ、相当な手練れだな・・・」

「先日、退職届を無理やり叩きつけてきました。つるさんは受けてくれたんですが、父が許してくれなくて・・・」


■■■は苦笑いをする


「待て。別の世界から来たお前に、何故、父親が居るんだ?」


ベンが話の矛盾点に気付く


「あ、父と云っても私を引き取ってくれた養父です」

「へぇ・・・親父さんも海軍なのか?」

「え!?え、えぇ・・・まぁ」


シャンクスの問いに、ハッキリと答えられない

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