B
「空気銃ッ」
小さな空気の塊が飛んでいく
「よッ、と。あらら、技、強化されてんね」
「当たり前じゃない。おつるさんに教えて貰ったんだから」
「厄介だよね、敵になったらさ」
「そんな事、微塵も思ってないクセに」
「そんな事ねぇぞ?お前の能力、使い方に寄っちゃあ恐ろしいんだぞ?]
お互い、距離を取りながらも会話を続ける
「ほら、あれだ・・・えっと・・・忘れた」
「要領得ないんですけど?」
「ほら、あの、周りの空気奪うヤツ・・・何だっけ」
「窒息?」
「そ。そのサフォケー・・・何だって?」
「
サフォケーション!一回で覚えろッ! 」
「そうそう。その技、やろうと思ったら、今、俺に使えるんだぜ?」
■■■は、その技だけは使えずにいた
「いくら何でも・・・コレは使えないよ」
「あらら。しんみりしちゃって・・・また逃げるつもりか?」
「違うよ!窒息使ったら、父さん、死んじゃうかもしんないんだよ?」
「俺から逃げたいんだったら、使えば良いさ」
俺なら使うね、と笑うクザン
「良いの?」
「良いぞ?ま、勝つのは俺だろうけどな?」
「ムカつくッ!突風ッ」
「だから、ムカつくとか云わないの!女の子なんだから!!」
■■■が放った突風をひらりと躱す
「ま、あんまり長引かせても何だから、決着付けるか」
突然間合いを詰め、■■■に抱き付く
「しまっ・・・」
「
アイスエイジ 」
「か、鎌鼬ッ」
云うが早いか、両者の技は両者を捉えた
「ッ!・・・やるじゃない」
「ぁ、く、あぁ・・・ぅ」
凍った左腕を擦りながらも、クザンに1発お見舞い出来たようだ
「コレ、特訓中じゃなかった?」
「ハァハァ・・・まぐれって、あるんだね?」
「まぐれで出来たの?怖いね、お前」
「今更?」
「本気でやんないと、俺も死んじまうかもな?」
「私、もう動けないに等しいんですけど?」
「またまた。そんな簡単に弱音吐くなよ、俺の娘なら」
■■■に手を向けると、そのまま止まるクザン
「なぁ?」
「何?」
「どうしても・・・行きてぇのか?」
「うん」
「俺は海軍で、大将だ・・・でも、その前にお前の親だ」
「うん」
「空白の100年を解き明かそうとか、歴史の本文を解き明かしたいと云う人間を俺は知っている」
「ニコ・・・ロビン?」
「あぁ。その母、ニコ・オルビアもそうだ。俺はオハラのバスターコールにだって関わった」
「バスター・・・コール」
「あの歴史を解くことは、世界政府を敵に回すって事なんだぞ?分かってんのか?」
「分かってる」
「だったら」
「でも!海軍に居て海軍側から見た世界は、もしかしたら間違ってるのかも知れない・・・そう思うようになったの」
「■■■」
「もしかしたら海軍は、いや、世界政府はやっちゃいけない事をしたんじゃないかって思うようになってきたの」
■■■は精一杯声を張り上げる
「あの時・・・CP9のスパンダムにバスターコールの権限を与えた父さんは正しかったの?」
「・・・」
「知らない事を知りたいって思うのは、いけない事なの?」
「子供みたいなこと云うじゃない」
「もう分かんないんだよ!何が正しくて、何が間違ってるのか・・・」
■■■は俯く
「こっちに来てから、必死に勉強して海軍に入隊した。確かに、海賊は略奪や殺戮を繰り返す。でも、それだけじゃない」
「なに?お前、海賊になりてぇの?」
「違う。おつるさんにも云われたけど、海賊になるつもりなんてない」
「なら、海賊の肩持つような言い方は何でなの?」
「エニエスロビーでの麦わら達や、今までの遠征で出会った海賊達を見て分かったの。純粋にワンピースを目指している海賊達も居るって」
「ワンピース・・・ねぇ」
「だから、私は行くの。ワンピースを見つけるためじゃない。何が正義で、何が正しかったのかを知るために行くの」
クザンを睨み、手をかざす
「私は、父さんを殺してでも出て行くッ!」
「やってみろよ」
■■■に向けていた手を握り締めると、間髪入れずに氷の塊を飛ばす
「ハッ!(マズイ!)」
「アイスサーベル」
「ぐぁああッ!・・・ッ」
「どうした?やりかえして来いよ。殺してでも行くんだろ?」
■■■を見下ろすクザンの眼は、まさに氷の様だった
「ハァハァハァ・・・サー、マル・・・」
「ん?」
「
熱膨張ッ! 」
「おいおい、マジかよ!?」
■■■は出来る限りの力を振り絞り、爆発を起こした
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