第7話
【逆行性健忘症】受傷・発症により昔の記憶が抜け落ちた状態
マルコの記憶が抜けているのは、きっとあの事故のせいなんだ
『やはり、あなたの事だけを忘れてしまっているようです』
「そう、ですか・・・」
『足はいずれ治るでしょう。しかし、記憶だけは何とも云えません』
あの日、信号無視をした車に轢かれそうになった私を助けてくれたマルコ
その代償で、マルコは私のことを忘れてしまった
「可能性は、ゼロじゃないんですよね?」
『もちろん』
― 病室 ―
「■■■、さん・・・」
彼女の名前を口に出してみても、何も見えてこない
頭を過るのは、おれの掠れた記憶なんだと思う
「・・・ッ」
「 ?どうした?」
「痛ッ・・・!」
「 ッ!?」
「マ、ルコ・・・痛ッ、く・・・」
「 ッ!!なぁ、 !しっかりしろよい!!」まただ
また、顔と名前がハッキリしない
ただ、記憶の中のおれはとても辛かった気がする
何故、倒れたの?
それはおれのせい?
おれは助けてあげられなかったのかい?
おれは、助けたいと思ったんだよい・・・
助けたい
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