砂時計【マルコ】 | ナノ

第1話


目を開けたら、知らない天井があった

一体、ココはどこなんだ・・・?

おれはどうして・・・


「あ、マルコ、気が付いた?」

「・・・?」


ベッドサイドで花瓶の手入れをしながら話し掛ける女性は、誰だろう?

それに、左足にはギプス

右腕には点滴が刺さっている

おれの事を“マルコ”と呼ぶんだ、きっと看護師ではないだろう


「マルコ?」

「なぁ・・・」

「ん?」

アンタは、誰なんだい?

「・・・え?」


この人は、おれの家族なのだろうか?

それとも知り合い?同僚?

大事な友達なのだろうか・・・?


「マ、マルコ、なに・・・云ってんの?冗談、よしてよ」


目の前の彼女の表情が強張っていくのが、手に取るように分かった


「冗談も何も、おれはアンタを知らねぇよい」


本当に知らないんだ

一体、誰なんだよい





― 診察室 ―

「記憶・・・喪失?」

『えぇ。詳しくは検査次第ですが、そのような反応があったのなら可能性は考えられます』

「そんなッ!!」

『頭部CT検査の結果では異常所見はありませんでした。しかし、あの事故です。どんな症状が後発してもおかしくはありません』

「・・・先生、マルコは、あの人は元に戻りますか?戻れますよね!?」

『現時点では明言出来かねます・・・』

記憶喪失なんて、そんな漫画みたいな話が自分の身に起こるなんて、考えもしなかった

すまない、■■■


オトシ



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