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「じゃあ、今から開始って事で、カンパーイ!」
後輩の合図で合コンがスタートした
「●●●さんは、好きな男のタイプってどうなの?」
「あ・・・いや、その」
やはり合コンだ
私になんか興味を持つワケないと思っていても、誰かしら気を遣ってか声を掛けてくれる
「あ、ココ良いですか〜?」
「お、イイよ」
「●●●先輩、失礼します〜」
誘ってくれた後輩が、私と男の子の間に割って入る
「あ、私、ちょっと化粧室に・・・」
何も悪い事はしていないが、何となく居辛い雰囲気が行動させた
「ハァ・・・」
トイレの個室に籠ること10分
あまり長居は出来ないだろう
「ってか、●●●先輩、マジで来ると思わなかったんだけど?」
「何で誘ったの?」
「え?決まってんじゃん」
彼女達も化粧室へ来ていたようだ
何となく出づらい・・・
「
私達の引立て役に呼んでやったのよ 」
「マジ!?それウケるんだけど!」
「確かに!先輩、もうすぐ30だっけ?」
「いや、既に30でしょ?」
そんなこったろうと思っていたが、実際に聞いてしまうと落ち込むものだ
よし、席に戻ったらお金だけ置いて帰ろう
そして、コンビニで何か夜食を買って行こう
明日が休みで、本当に良かった・・・
「あ、私、用事があるから此処で帰らせて貰うね。コレ、足りると思うから」
「えぇ〜?もう帰っちゃうんですか?まだ居て下さいよ〜」
「ゴメンね?余った分は、足しにして」
“私の引き立て役で、まだ居て下さい”って魂胆が見え見えな今、ココに居たいと思う人間は1人も居ないと思うよ?
若いって良いねぇ・・・
「・・・ハァ」
店を出ると、ポツリポツリと雨が降ってきた
「ホント、タイミング悪い・・・仕方ない、濡れて帰るか」
今日はつくづく、嫌なことや驚くこと、胸を締め付けることが多いな・・・
でも、きっとこの雨が洗い流してくれるだろう
「■■■」
「あ、マルコ・・・さん」
「何だよい、合コンってココだったのかよい」
「えぇ。でも、私は先に上がらせて貰いました」
そういえば、昼間、マルコに告白をされていたのだと思い出すと、急に頬が熱くなった
「で?今から帰るのか?」
「はい」
「そうか。なら、送る」
「いや、良いですよ。遠いですし」
「だからだろい?女1人、夜に歩かせられねぇよい」
そういうと、マルコは自分の傘に引き入れた
「い、いや、あの・・・ホント、大丈夫ですから!ま、マルコさんが濡れますよ!?」
「構わねぇよい」
「いや、私が構うんですが・・・」
「気にするなよい」
ちょっと呆れたような苦笑いを浮かべると、マルコはそのまま歩き始めた
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