A
― 数年前 ―
「スモーカー大佐!今、本部より報告が!」
「何だ」
「奴らは西へ向かっています。どうやら、西の入り江に船を隠しているようです!」
「分かった。●●●、援護しろ」
「ハイ!」
●●●は先に走り出したスモーカーを追い掛ける
「行くよ、たしぎ少尉ッ!!」
「あ、ハイ!!」
まだ、少尉になったばかりのたしぎを引き連れ、偉大なる航路での遠征を組んでいた
「スモーカーさん、奴ら二手に分かれたようです。どうしますか?」
「チッ・・・なら、お前は街側に行け。おれは船周辺を張る」
「了解です!」
●●●が走り出そうとすると、たしぎが声を掛けた
「あの!私はどちらに付けば宜しいですか?」
「・・・好きにしろ」
「たしぎ少尉、こちらへ来て援護をお願いします」
「ハイ!」
●●●とたしぎは街側へ進軍する事になり、走り出した
「●●●少佐、奴ら・・・来ますかね?」
「さぁね・・・もしかしたら、もう1本の道かも知れないわね」
「では、私はそっちに行きます」
「あ、待って!たしぎ少尉!!」
●●●の制止も聞かず、隣りの通りへ向かうたしぎ
ドンッ―――
「!?」
謎の爆発音が響き、揺れが起きる
「まさか・・・ッ!援護班B!!」
「ハイ!」
「作戦変更!至急旧大通りへ進路変更。半分は待機、伝令班はスモーカー大佐に連絡を!私は現場に急行する!何かあったら連絡を」
「了解です」
「ハッ!」
嫌な予感しかしなかった
「たしぎ少尉、無事で居て」
いつもより足取りが重く感じる
自分はこんなにも足が遅かっただろうか?
「たしぎ少尉ッ!!」
「●●●少佐ッ」
「良かった、無事ね。で、状況は?」
「ハイ、囲まれて焦っているようです。いきなり発砲してきました」
「なるほど・・・あまり良い状況では無さそうね?」
●●●は周囲を見ながら、島民に影響が出ない方法を考える
「たしぎ少尉」
「ハイ」
「今から出す指示を守りなさい」
「ハイ」
「私が応戦します。スモーカー大佐が伝令を受け到着するまでの間、戦闘はせず島民の避難を!早くッ!」
「ハ、ハイッ!」
指示を受け走り出すたしぎ
「さぁて・・どうしようかなぁ」
『お前は海軍本部少佐・●●●・・・って事は、白猟のスモーカーが居るのか!?』
「あら、私なんかのこと知っててくれてたの?」
『スモーカーの片腕だ、知らない奴は居ねぇよ』
海賊達は口々に云う
「じゃ、アナタ達がこれからどうなるか分かってるんでしょうね?」
●●●は持っていた刀を抜く
『上等だ。女だからって手加減はしねぇぞ?ましてや海軍様だ』
「臨むところよ?」
『死ねぇええええッ』
●●●をめがけて斬りかかって来る者、銃を撃つ者を斬り倒していく
「キリがないわね・・・」
『少佐1人で俺達の相手は大変だろ?』
「正直、骨が折れるわ」
『なら、さっさと道を開けるんだな?』
『で、のこのこ本部に帰って報告するんだな。海賊を取り逃がしましたーって』
卑下た笑い声を上げる海賊達
「そうは行かないわよ」
刀を構え、間合いを詰める
『なら、コレはどうだ?』
「何をする気!?・・・・・・ッ、たしぎ少尉ッ!!」
海賊の銃口が、島民の誘導をしているたしぎへ向けられる
「たしぎ少尉、危ないッ!!」
「・・・えッ!?」
間に合わないかも知れない、そう思っても走り出す●●●
ドキュ―――ンッ
「・・・あ・・・●●●、少佐・・・?」
「たしぎ少尉・・・ケガは?」
「ありません!」
「そう。良かった・・・」
「●●●少佐ッ!」
「島民避難は?」
「完了しました」
「了解・・・
全隊員に告ぐッ!完全包囲後、捕獲する!全員、死ぬんじゃないよッ!! 」
「「ハイ!」」
力の限り声を上げ、部下へ指示を出す
「たしぎ少尉・・・行くよ」
「ハイ・・・」
「あ・・・ッ・・・」
「少佐ッ!ダメです、撃たれてるんです!ココで待機を!!」
どうやら脇腹と腕を撃たれてしまったらしい
「バカね・・・」
「え?」
「部下に指示しといて、自分だけ待機してるワケにいかないじゃない」
「でも、その身体では・・・」
「良いから、行くよ。大佐が到着するまでに決着付けるからね!」
落とした刀を拾い上げ、向かい合う
<< >>