A
「・・・で、結局、何が欲しいんだ?サッチは」
「・・・は?」
突然聞かれ、どうにも間の抜けた声が出た
「だぁかぁら!夏島に着いたら、お前に付き合うって話してただろ?」
ったく!と憤慨しながら、医務室のデスクに向かいカルテを書く
「あ・・・それ、ね?」
今更、付き合うの意味が違いますよ?ってツッコミ入れられないんですけど・・・
「とりあえず、お前の行きたい所について行くけどさ?・・・あ、エースにお土産買ってくから、そこには寄ってくれれば助かる!」
「あ、エースね?うん。それはOK」
「なぁサッチ?」
「ん?」
「・・・良いのか?」
「良いのか?って何が?」
「何がって、お前・・・
好きな女に誤解されっぞ? 」
いや、その好きな女が
アナタなんですよー!?
もう、サッチ泣いちゃうッ!!
「いや、大丈夫。誤解も何もないから・・・」
「そうか。なら良いや」
「明日、何時に出る?」
「いつでも構わないが、とりあえず、オヤジの健診してから出て行きたいなぁ」
「オヤジの?あぁ、そうか・・・構わないよ。終わったら連絡くれれば」
「そうか。なら、終わったら連絡する」
「あぁ」
●●●は医者だ
オヤジはおろか、モビーのクルー全員の健康管理をしている身だ
7日間もオフになるんだ
その前のメンテナンスも大事だろう
「フフ・・・フフフフ!楽しみだなぁ!!」
医務室を出ると、自然と出てくる笑い
自然と零れる声
きっと、いつも以上に気持ち悪かったと思う
・・・いや、いつも気持ち悪くないし!!
「早く明日になぁ〜れぇ〜♪」
サッチの足取りは、宙にも舞うほどだった
<< >>