コラボ企画 | ナノ

ふゆやすみ様とのコラボ企画小説B


それは本当に偶然の出来事であった。

エースとサッチが飲みに行こうと歩いていたら珍しくコビーが1人で繁華街を歩いていたので声をかけると友人と飲むはずが相手に仕事が入ってしまい帰ろうと思っていたところだと苦笑して話すものだから迷わず誘った。

快く了承してくれたコビーを真ん中にして歩いていると、とても目立つ大男が嫌でも視界に入り、エースが面白がって声をかけると、いつものように気怠い雰囲気を垂れ流したクザンがあっさりと誘いに乗ってくれた。

それだけでも凄いことなのに、入った居酒屋に居た人物で更に衝撃を受ける。

ローとペンギンが2人で飲んでいたのだ。

ルフィ繋がりで顔見知りのエースとローの繋がりで、とても奇妙な飲み会のメンバーになった。

「いやー、変なメンバーだなー。飯は適当に決めるぞー」

正直な感想を述べるエースはメニューを開いて食べる物を次々と決めて店員に伝えていくがその量が明らかに普通ではない。

「ローは相変わらず顔色悪いな。ちゃんと飯食ってんのか?」

「余計な世話だ」

心配をしてくれているサッチの言葉を聞いて露骨に顔を歪ませて返答する。

「この人、最近気に入った女性ができたから機嫌よく前より食事してくれるようになりましたよ」

「ロー!!お前が気に入る女ってどんな美女だ?!」

「あーらら、お前にもとうとうできたのか」

「まさか■■■ちゃんか!?だとしたら許さねえぞ!!」

「あ、あの、サッチさん落ち着いて!」

今にも噛みつきそうな勢いで身を乗り出したサッチを慌てて抑えるコビー。

「馬鹿か…どんなに金を積まれても■■■を抱くこともできねえし、女として見ることもできねえ!!」

「真顔で酷いこと言うんじゃねえよ!■■■ちゃんの魅力がわからん愚か者め!」

「で?誰を気に入ったわけ?」

珍しく興味を惹かれたらしいクザンがニヤニヤと意地悪く笑っていて、こうなると白状しないと後々厄介なことになるとわかっているからローは舌打ちして口を開いた。

「…●●●だ」

「……は?」
「……え?」

エースとコビーが目を見開いて固まってしまった。

「ああ、赤髪の所の雑用の女の子ね。あの子も面白いよね」

「●●●ちゃんも可愛いよなあ」

知っているだと?

まさか、ペンギン以外の人間が●●●のことを知っているとは、ローにとって大誤算だった。

赤髪の会社に居る雑用係はそんなに有名なのか?

「おいフランスパン、●●●に手を出したら検体にしてやるぞ」

「おっかねえこと真顔で言うな!」

「それにしても、ああいう子を気にいるだなんて珍しいじゃない」

テーブルの上に料理と酒が敷き詰められていく中、ローは勝ち誇ったかのように笑ってビールを一口飲む。

「一夜を共に過ごした」

「なんだと!!」

「ど!どういうことですか!?ローさんどういうことですか!?」

蒼白しているコビーがオロオロし、エースはそれ以上、言葉が出て来ないようで、その目は焦りと動揺の色が浮かぶ。

この反応だけで充分な程の事実を知ってしまった。

「…なあ、まさか、エースとコビーって、●●●ちゃんのことが好きなの?」

「…うるせえサッチ」

「…エースさんもなんですか…」

「ハッ!明らかにオレが優位だな!」

そういうと、ローはおもむろにスマホを取り出し皆の前に差し出した。

「…な!?」

「……」

スマホを見て、エースとコビーは絶句した。ローが差し出したスマホには、●●●がスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている写メが表示されていた。

「あーらら、証拠写真あるんだ」

「うわぁあああ!!●●●ちゃんがぁあああ!!おい、エース!●●●ちゃんがぁあああッ!!」

「うっせぇサッチ!!んなモン分かってんだよッ!!」

「(あれって…ローさん家で論文作成した時に、あの人が何が何でも寝る!って言ってローさんのベッド占領した時の写メじゃ…?)」

ペンギンだけが事実を知っているこの写メに、ペンギン以外が悲喜こもごもしている。

「まぁ、おれが一歩リードって事で良いな?」

「ローさん!これは一体どういう事なんですか!?」

「ロー…マジかよ?」

「ねぇ、コレって事後?」

「この感じじゃあ事後ってことはないでしょ?」

流石のクザン、最年長だけあって百戦錬磨の一言である。

「良いなぁ~…おれも■■■ちゃんの寝顔写メ欲しいなぁ~」

「おれのベッドで寝てくんねぇかなぁ~■■■ちゃん」

「(■■■なら、ゲームのコントローラー握ったまま床で寝てそうだな…そんで、ベッドに運んでやらなきゃなんねぇんだろうなぁ…)」

■■■派の3人は各々で妄想を膨らませている。

「でもまだ正式に付き合ってないんだから、エースとコビーにもまだ望みがあるんだから頑張れよ」

「サッチ…お前に慰められるなんて…」

「エースくん、何でそこで残念そうに呟くの?」

「まあ、せいぜい頑張れよ」

どんなに余裕な態度を見せられても、真実を知るペンギンは、彼女がローのことを厄介な依頼人だという認識しかしていないから大丈夫だと伝えてあげたい気持ちでいっぱいになった。

「●●●ちゃんのどこに惚れちゃったの?オレ、エースから何も聞いてないんだけど」

「わざわざ話すことじゃねえだろ…」

「えー、聞いてみたいなー。若者の恋バナ聞きたいなー」

「サッチうぜえ!お前は自分の恋バナ話せるのか!?」

「話せる!むしろ話したい!」

「ますますうぜえ!」

「…■■■はドフラミンゴと同等の異常者だぞ。あいつのどこに女としての魅力を感じたというんだ?」

自分の異常な保護者と同等と断言させる■■■はどう考えても惚れる要素が見当たらない。

惚れた女の評価を聞くとクザンが呆れたように息を吐き出してローを見る。

「おいおい、あいつと一緒にするなよ。■■■ちゃんはそれ以上の人間だからな」

「お前の方が失礼なこと言ってるぞ」

本当にこの男は■■■に惚れているのだろうか?

「おい、そこのフランスパン、話せ」

おれに話をさせろ!と目を輝かせているサッチに話題を振る

「おれは、■■■ちゃんの忘れられないパンになりたいんだよ!!」

「…は?」
「パン…ですか?」
「どういうことだよ、サッチ…おれ、お前が分かんねぇよ」

●●●派の3人は、サッチの一言に絶句する。

そもそも、何故すでにフランスパンであるサッチはパンになりたいのだろうか?

「おれさ、出会って間もない頃に男性経験人数を聞いた事があったんだよ」

「セクハラじゃねぇかよ!男のおれでも分かる!サッチ、最低だぞ!!」

「そしたら、■■■ちゃんったら“お前は今まで食ってきたパンの数を覚えているのか?”って!もうシビれるぅうう!!」

■■■ちゃんカッコいい!!と絶賛しているが、●●●派の3人には理解出来ない。

「…じゃあ、クザンはどうなんだよ?」

ときめいているサッチを放置し、クザンに話を振るエース。

「オレにまで聞いちゃう?お前達さ、ちょっと気になる女に酒を奢って拒否られたこと、ある?」

カッコつけて聞いているが、内容としては至極恥ずかしいエピソードである。

「ねぇな…」
「ぼくもありません」
「おれもねぇな」

「ちょっとイイ雰囲気のバーで酒飲んでたら、まだ知り合う前の■■■ちゃんが入って来て偶然だけど同じカウンター席に座ったんだよね。そんで、マスターにお願いをしてグラス1杯のお酒を…ね?」

よくTVなどで見掛ける“あちらのお客様からです…”をやったらしい。

「でもさ、カウンターの中央でグラスを止められたんだ」

「何があったんですか!?」
「拒否られたのか」
「止められるとか…」

「あの子さ、自分のグラスぶつけて止めたんだよね。そんで“自分の時間を邪魔するヤツは嫌いだ”ってさ」

参っちゃうよ!と笑っている。そんな拒否のされ方をしているのに、どうして惚れたんだ?

しかも、そんな■■■の行動を愛おしそうに話すクザン。

「■■■ちゃんのこういうところって、ホント可愛いよね~?」

「確かに!マジで可愛いって!何やっても可愛い!」

「……可愛い」

クザンが放った一言に、ボソリと同意する者がいた。

それをエースは見逃さなかった。

「おい、ペンギン…まさかお前…?」

「…」

無言で酒を飲むということは肯定したということ。

まさか、まともな人だと信じていたペンギンまで■■■に惹かれていただなんて…何故か裏切られた気分だ。

「あらら、ここにもライバルが居たのか」

「ペンギンもかよ…お前は何言われて惚れたんだ?」

「あんたと一緒にするな。話す気もない」

言いながらグラスを置いて軽く睨めば

「こいつは壁ドンされて惚れたらしいぞ」

と、本人より先にローが暴露してしまった。

「ちょ!ローさんッ!?」

まさかの展開に焦るペンギン。

「っつーか、されたの?君が?」
「壁ドンって、あの今流行りの?」
「したんじゃなくて、されたんですか…?」
「アイツに?」

各々の反応と視線が痛い。

「あぁそうだよ!おれは■■■に電車で壁ドンされたんだよ!でもな、コンビニでまた会った時、アイツ覚えてなかったんだよ!ってか、サッチさんとクザンさん相手に勝てるワケねぇじゃん!!うわぁあああああん!!」

開き直ったのか、どうしちゃったのか、ペンギンは一気に捲し立てて泣き喚き始めた。

「落ち着けペンギン!!シャチでも呼ぶか!?」
「酔ってるんですね!ペンギンさん酔ってるんですね!!」
「あらら、結構飲んでたんだね~。お姉さん、この子に水お願いね!」
「ゴメン!おれ達が悪かった。ってか、おれ達の知らないペンギンが居る…」

突然の豹変に戸惑う4人。

「あぁ、コイツは酔うといつもこうだ。気にするな」

ローは落ち着いてグラスに手を伸ばす。

「お前はもう少し罪悪感を持て」

「ロー、お前が言わなきゃこんな事にならなかったんだぞ?」

サッチとエースに、ペンギンを泣かせた事を責められ少しだけ罪悪感を持った

「…おい、ペンギン。戦う前から諦めるんじゃねえ。本気で惚れているなら全力で口説け」

「…ローさん、そうですよね?おれ、頑張ります…」

「ロー、お前良いこと云って誤魔化してんじゃねぇよ…」

ペンギンはローの一言で感動しているが、エースは誤魔化したのを見逃さなかった。

「で?肝心のお前さんはどういうエピソードなワケ?」

泣き喚くペンギンを宥めると、今まで場を仕切っていたエースへ話を振る。

「え?」

「●●●ちゃんのこと、どうして好きになったの?」

「…んなモン、良いじゃねぇかよ!」

「良くないよ?おれ達だって話したんだよ?フェアじゃないでしょ」

クザンの云うことは最もだ。

「…分かったよ」

エースは観念したように話し始める。

「アイツ、おれに弁当作ってくれたんだ。でもな?それがすっげぇー微妙だったんだ」

要するに、手作り弁当を作って貰ったは良いが味は微妙だった…と?

「うーん…惚れる要素が見当たらないんだけど?」

「でもさ、良いよなぁ…手料理って」

サッチが心をときめかせている。

「アイツが一生懸命作ってくれて、そんでルフィが不味いって云ったらパニック起こして台所に駆け込もうとしたり…何っつーか、ほっとけねぇんだよな」

ポリポリと頬を掻きながら語尾を濁すエース。

自分より年下だと知っているが、まさかこんな学生のようなほのぼのした内容だとは予想できなかった。

「ふーん…で?コビー君はどうなの?」

「え?ぼ、僕ですか!?」

エースが意外と青春している事に嫉妬するクザンは、話をコビーに振る。

「意外だったんだよね…正直、接点無いと思ってたから」

「確かに!君ってお巡りさんでしょ?●●●ちゃんと接点あるの?」

「フランスパン、侮るな。●●●は何でも屋だぞ?警察にだって行っている」

確かに警官であるコビーと何でも屋の●●●に接点があるとは思えないが、ローが云うように何でも屋だ。警察にも出入りはしている。

「●●●さんには助けて貰ったんです」

コビーが屈託のない笑顔でみんなに伝える。

「警官の君が?」
「どうしてそうなったの?」
「警官としてどうなんだ、お前…」

クザン、サッチ、ローにそれぞれツッコミを入れられるコビー。

「僕、電車通勤なんです。その時、券売機で小銭を落としてしまって…」

あぁ、やっぱりコビーってドジッ子なんだ…とその場にいた全員が思った。

「●●●さんに“さっさと足で踏んで拾え!”って怒られました。ハハ、情けないです…」

コビーは恥ずかしいと云いながら、頭を掻いている。

「怒られて惚れたの?」
「君って…おれ以上にMっ気ある?」
「…アイツらしいな」

正直、コビーの話にも惚れる要素はないように思われた。

「怒られたから…というより、その後に2人で会話をしていて惹かれたんだと思います」

照れ笑うその顔は穏やかなまま言葉を続ける。

「確かに変わっている方ですけど、悪い人ではありませんよね。優しい方ですよ。自分に正直であけすけで、だからこそ一緒に居て安心できるというか…」

「コビーごめんストップ」

「…え?」

サッチが話を止めると当然不思議に思うわけで、首を傾げると皆それぞれ、苦い顔をしている。

「…おじさん、お前の純粋な気持ちが眩しすぎるよ」
「オレ、●●●ちゃんのことをそう思ったことないや…」
「感動したぞ…」
「…チッ」
「あー、うん、そうなのかもなあ」

どうしてこんなに若者達はキラキラした青春を送っているのだろうか?とオッサン2名が落ち込んでいる。

「と、まぁ、全員の恋心が暴露された所でみんな、フェアに行こうじゃないの、ね?」

グラスを煽り、ニヤリと笑うクザン。

「おれ、ぜってぇ負けねぇよ?■■■ちゃんをゲットすんのはおれだからな?」

サッチがライバル達に宣言する。

「おれだって…諦めたワケじゃないからな」

ペンギンは冷静に宣戦布告する。

「おれはお前らに●●●を譲るつもりはねぇからな?」

ローは未だに自分が1歩リードしていると思い込んでいる。

「おれだって譲るつもりねぇよ!」

エースはローの挑発にまんまと乗ってしまう。

「ぼ、僕だって!負けませんよ!?」

コビーも今あるありったけの勇気を振り絞って応戦する。

「じゃ、今日はこの辺でお開きにしましょうか?」

「そうだな。ってか、ココ、クザンの奢りだろ?」

「■■■ちゃん諦めてくれたら奢ってやるよ」

「じゃ、おれ払う」

「冗談だよ。今回は面白いモン見せて貰ったから、奢ってやるよ」

さっさと会計を済ませようとしたその時、事件は起こったのだった。



盛り上がる子会



2014.12.12.
【作成者】
ふゆやすみ:まんまる
日常茶飯事:憂


― あとがき ―
ふゆやすみ:まんまる
お疲れさまでした!まさかこんなに早くコラボ小説を完成させることができるとは思いませんでした。忙しいのにありがとうございます。しかし、夢主が出てこない夢小説ってなかなか見当たらないですよね?(笑)今後の展開にも期待しております!!またよろしくお願いします!


日常茶飯事:憂
今回のコラボ、実は私のエース編・コビー編待ちでした。漸く出来上がりました(笑)夢主が不在で盛り上がる男子会…イチオシはやはりペンギンでしょうね!可愛いよ、ペンギン!!コラボ企画も第3弾。実は第4弾も計画中なので、楽しみに待っていて下さったら幸いです。最後まで読んで下さってありがとうございました!!


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