コラボ企画 | ナノ

停留所様とのコラボ企画小説


「お疲れ様でした!私は帰ります!」

張り切って敬礼している●●●を見てシャンクスが不思議そうに首を傾げる。

「●●●、何でそんなに元気なんだ?」

「私はいつでも元気ハツラツですよ」

「………お前、まさかこれからデートか?」

「…うっせ、黙れ、クソ社長」

暴言を吐くその姿にシャンクスの目の前は真っ暗になった。

「ってか、そんなオシャレして、マジでデートとか…?」

「……いっぺん死ね!デートしちゃ悪ぃか?」

シャンクスの残りHPは、わずかに1しかない。

「ベエエエエエエエエエエエン!●●●が!●●●が不純異性交遊をおおおおお!」

「うるせえ」

ベンが耳を塞ぎながら、シャンクスのお守をする。

「お疲れさまでしたー!」

騒いでいるシャンクスを無視し、●●●は会社を飛び出した。




然という名の出会い





「で、赤髪には本当のことを告げずにここに来たのか?」

「はい。だって上司にわざわざ言うことではないでしょう?」

「確かに」

ミホークが経営しているバーに珍客である。

赤髪の会社で働いている●●●。

最近知り合ったわけだが、さすがあの会社で働けるだけあって変わっている。

「それにしてもお客さんが来ませんねえ。ここ儲かってるんですか?」

この店は夜7時に開店。

閉店時間は気分次第。

来るのは常連だけで、それ以外の一般の客というものは来ない。

「主に探偵業で儲かっている。バーとしては儲かっていない」

もともと接客は苦手だから普通の客が来ると非常に困る。

「仕方ないですねー。私がバーとしての収益を上げてあげます。コーラください」

またか。

こいつはコーラしか飲まない気か?

「…ほら、好きなだけ飲め」

「ちょっとミポリン!コーラを2Lのペットボトルで渡さないでよ!私お客さんですよ!」

「客というのは酒を飲みに来た者だ。お前のようにソフトドリンクしか頼まない輩は客ではない」

「違いますよ!!何も注文しない人は客じゃないけど、注文する人は客ですよ!」

仕方ないと渋々ペットボトルを持って自分でコーラをグラスに注ぎこちらを見上げた。

「ミポリン、おやつある?」

「スルメでいいか?」

「スルメ?こんなにオシャレな雰囲気のお店でスルメ?」

「嫌いか?」

「大好きです」

「なら黙って食え」

ミホークは“徳用”と書かれた袋を●●●に渡す。

「袋で?!皿に移してから出してくださいよ!何回も言うけど私はお客さんですよ!」

「そうか、オレはてっきり●●●かと思ったんだが」

「そうです!私は●●●ですけどそれと同時にお客さんです」

さっきから客だと主張しているが、それならもう少し高い物を頼め。

皿を諦めた●●●が袋を開けて袋に手を突っ込み食べていると、カランと扉が開く音、つまり来客を知らせる音が響いた。

そちらに視線を向ければ、予想外の人物に目を見開く。

●●●もつられて扉の方を見たが、どうやら知らないらしく、お客さんですねえ、と間抜けな声で話した。

「…お前がここに来るとは…驚いたぞ」

赤鼻のコンビニで働いている■■■だった。

こいつがこの時間に働いてないということは休みなのだろうか。

「うわー、本当にミホークさんが働いてる。ちゃんと仕事してたんですね」

「ええ!ミポリンがニート疑惑!?」

正面から失礼なことを言われたが気にしない。

■■■はこういう奴だ。

「■■■、ここに座れ」

と、●●●の隣を指す。

「わかった。失礼します」

「は、はい、どうぞ」

何故、■■■がこの店に来たのかは後程訊くとして、まずは確認をしよう。

「■■■、客としてここに来たんだな?」

「何故そんな根本的な所を訊くんですか?客に決まってるでしょう」

「何を飲む?」

「何があるんですか?」

「JINROだ」

「それ嫌だ。とりあえずビールを大ジョッキでお願いします」

「●●●、こういう奴を客というんだぞ」

「ソフトドリンクを頼む私は客では無いと?!」

さっきから扱いが酷いよと喚く●●●を無視してビールを用意する。

「ミポリン聞いてますか?!」

「聞こえている」

「それ聞いてないですよね!?」

ビールを目の前に置いてやると不思議そうにこちらと●●●を交互に眺めている。

「…どうした?」

「…さっきから気になってるんですけど、ミポリンって、ミホークさんのことですか?」

「え?あ、はい、私はミポリンと呼んでいます」

「…はあ…顔に似合わないですね」

誰もがそう思うことだ。

■■■が大ジョッキを持って、まさかの一気飲み。

喉を鳴らして美味しそうに飲み干す姿はシャンクスに似ていることはあえて言わないでおこう。

「…いい飲みっぷりだな」

「っあー、うめー」

「…え?これマジックですか?一瞬でビールが消えましたけど」

「はい、私の胃に入りました。ミホークさん、ビールおかわり」

「わかった、お前は客だ」

「そして何故に私を見るんですか!?」

ソフトドリンク以外を頼めと言ってるんだ。

「ミポリン、酒が飲めなくても雰囲気を味わいたい人間だっているんですよ?」

「だから、お前にはコーラを渡しただろう?」

2Lのペットボトルでね?それ、客扱いじゃないから

「ミホークさん、“お客さん”って言葉知ってる?店に入った瞬間から“お客さん”なんですよ?」

さすが、コンビニで接客業をしているだけはある。

■■■の言う事は的を射ている。

酒以外の注文でもお金は取れるんですよ?

感心して損した。俺のさっきの褒め言葉を返せ。

「そうですよ、ちゃんとお代は払うって言ってるんですよ!?なのに、どうして社長みたいな扱いされなきゃなんないんですか!?」

「お前がアイツの部下だからだ」

「酷いからッ!!」

●●●とミホークのやりとりを見て、ふと疑問が浮かんだ■■■。

「ミホークさん…」

「何だ?」

「社長って役職の人にも、そんな扱いしてんの?それ、商売ナメてないッスか?」

「いや、アイツは規格外の社長だからな」

「いやいやいや、社長ってんなら、ガッポリ金貰えるよ?気持ちよく飲ませて、財布丸ごと貰えば良いじゃん。カードとか入ってるんでしょ、財布に」

恐ろしい娘だ。

赤髪はカードを持っているだろうが、限度額が心配だ。

アイツはここ以外でも飲み歩いているだろうから、月末ともなれば請求書に怯える毎日であろう。

「うちの社長、多分、そんなにお金持ってないですよ?」

「金持ってないのに社長って出来んの?」

「社長に対しての偏見が凄いですね…一応、アレでも社長やれてますから」

「そうなんだ。社長って金が無くても出来るんだったら、私でも出来るかなぁ」

お前には無理だ、コンビニ娘。

そもそも、お前には人をまとめる力が欠如している。

そして、お前について行く奇特な輩は居ないであろう。

赤鼻の奴は、よくこんな娘を雇っているな。いや、赤鼻が上手くコントロールしているのだろう。アイツにもそんな特技があったのだな…。

「あ、出来るかもしれませんよ?うちの社長が出来てるんで」

「じゃ、何でお姉さんは起業しないんですか?ダメ社長なら、自分でやった方が良くないですか?」

「めんどいから」

「あぁ、分かるー」

「やっぱり、雇われてる方が楽だし…」

「そうなんだよねえ。部下の方が何やるにしても責任は全て上にとってもらえるし」

部下に恵まれてないな、赤髪と赤鼻…

困った時は、オー人事に頼ると良い。今もあるかは定かではないがな…。

「私の上司はお父さんみたいに口煩いんですよね」

「あぁ~似てますね。うちはお母さんみたいに口煩いんですよ」

父親と母親で、一体どう違うというのだ…?

「“あの男はダメだ”とか“こういう男が良い”とか、余計なお世話だよね?」

「うちの社長なんて、お腹痛いからトイレ行ってくるって言ったら“俺、付いて行こうか?”って言いやがったんだよ?もうさ、セクハラだよね?」

赤髪、人としてどうかと思うぞ…?

「社長っていうか、人としてどうなの?」

よく言った、コンビニ娘。

「こんなの、日常茶飯事なんだよね…」

「セクハラが日常茶飯事なの?」

「いや、社長が人としてどうか?っていう行動するのが日常茶飯事なの」

「辞めた方が良いんじゃない?終いには、“お尻拭いてあげようか?”って言いそうじゃない?

「大丈夫、私とか副社長達が全力で阻止してるから」

「ってか、よくその社長について行きますよね?」

「あ、私、社長にじゃなく副社長達について行ってるだけだから。あの人はついで」

「社長、オプションか」

赤髪、今日はココに来るな。

心の傷が広がるだけだ。しかも、2人の無邪気な娘によって傷付けられるぞ。

今すぐ、メールで知らせてやろう。

俺にここまでの行動を取らせるとは、恐ろしい娘たちだ。

「あ、そういえばミポリン、この間、社長んトコ辞めて俺んトコで働かないか?って言ってくれたよね?あれ、本気にしちゃおっかな?」

あの時の俺はどうかしていた。

「マジで?じゃあ、私もココでバイトしたい。接客、ミホークさんより上手いよ」

お前達は不採用だ

「「なんで!?」」

こんな恐ろしい娘、俺には手に負えん。

「雑用娘、そもそも俺はお前をスカウトした覚えはないぞ。夢でもみたのだろう」

「何だと!?言ったじゃないか、アンタ!!大人って汚ねぇなぁーッ!!」

「じゃあきっと、ミホークさんトコに永久就職って事だったんじゃない?」

「もっと違うぞ、■■■」

永久就職など、されてたまるか。

俺の身が持たん。

赤髪には悪いが、雑用娘も相当な問題児だ。

赤髪が泣きついてきたのも分からんでもない。だが、何故、あの娘に泣かされているのに雇っている?

「お姉さん、泣かない泣かない。ミホークさんは甘党で毎日ヘルシアばかり飲んでるだけのおっさんだよ。よく考えたらそんな大人に雇われても迷惑じゃね?給料払ってもらえるかわかったもんじゃないよ」

矛先がこちらに向けられた。

「太りたいの?痩せたいの?ミポリンの行動意味わかんない」

「健康に気を使っているだけだ」

「なら甘いのやめたら?ミポリン若くないんだし」

「下半身は若いらしいよ」

「どこ情報なの!?ってか、恥を知れ、ミポリン!」

閉店だ

「ミホークさん、私まだログアウトしないよ。レベルアップしてないシークレットアイテムも取れてないし」

「帰宅してパソコン開いてログインしろ」

「あー、今日確か週末限定のステージあったんだよな。そこに行かないと」

「ほら、ここをログアウトしないとそこにも行けないぞ。早くしろ」

「私は暇なんでまだここでコーラ飲んでますね」

「2Lをあと1本やるから帰宅して飲め」

ドンッ!と2Lのペットボトルをカウンターに置く。

「ええ!テイクアウト?!ここ居たい!!」

「副社長をログインさせるぞ」

携帯を手に取る。

「ラスボスじゃん!」

「ラスボスなの?今の装備で勝てねえよ。ミホークさん、私に最強装備をくれ」

「コーラでいいか?」

■■■の前にも、2Lのペットボトルを置く。

「私にはビールをくれ」

「ああ、すまん、さっきので品切れだ」

嘘だ。まだケースで沢山ある。

「じゃあ空き瓶でいいよ。ラスボスの頭それで叩けばいいだろ」

「やめて!副社長マジ強いから!空き瓶じゃ勝てない!社長なら一撃で終わるけど!」

「どうするかな。武器屋のおっちゃん、ここにある物で一番強いものなんですか」

閉店だ

「武器屋は24時間開いてるんだよ!」

「ここは武器屋ではない。早く帰れ」

「わかった。ミホークさんが最強の召喚獣か。契約を結ぼう。あ、レベル足んねえ」

「お前には一生無理だ」

「ミポリンに見捨てられたああ!」

雑用娘が大泣きしている。

まさか、コーラごときで酔ったとでもいうのか?

「あーあ、泣かせた。悪い男だなあ」

「閉店だと…」

コンビニ娘と雑用娘の首根っこを掴まえ、入口まで引きずる。

「言っているだろ!」

路上に放り出され、扉を勢いよく閉められてしまった。

強制ログアウトに2人は顔を見合わせた。

「帰りますか?」

「帰りましょうか」

「じゃ、気を付けて」

「そっちも。…あ、金払ってねぇや」

「良いんじゃないですか?今度で」

この娘たち、また来る気だ。

「そうですね。では、おやすみなさい」

「おやすみなさーい」

こうして、2人は互いの事をよく知らないまま、鷹の目の元から去って行った。



― 後日 コンビニ編 ―

「鷹の目の店に行ってきたか?」

「はい、行きました。ちゃんと働いてましたよ」

「お前はあいつがニートだと思ってたのか?」

「金持ちの甘党だと思ってました」

「アイツのことをそこまで言うのはお前くらいだよ」

「でね、強制ログアウトされた」

「はあ?」

「何でだろうなあ」

「…ところで金は払えたのか?」

「いや、払う前にログアウトだったんで」

「はあ?後でちゃんと払いに行けよ」

「うーん、考えておきます」

「さっさと行けよお前はよおお!」

「面倒だなあ…あ、いらっしゃいませー」

コンビニはいつものように平和である。


― 後日 赤髪商事編―

いーやぁあああッ!!

「どうした、頭?」

「べ、ベン…鷹の目詐欺だ」

「鷹の目…詐欺?なんだ、その面白い犯罪は」

「見てくれよ!アイツ、身に覚えのない酒代を請求してきやがったぞ!じゅ、10万とか、そんなに飲まねぇし!」

「……酔って覚えてないだけじゃねぇのか?」

「いや、覚えてる!最近、鷹の目んトコ行ってねぇモン!それに、アイツからエリアメール来ただろ!?」

「じゃあ、昔のツケだろ」

「俺はいつもニコニコ現金払いですぅー」

「なら、鷹の目に聞くんだな」

「…そうだな。メールしよ」

シャンクスの元に2人の飲食代が届いたのを、●●●と■■■は当然知らない。



――――――――――――――――
コーラ 2L  1本(テイクアウト 2本)
ビール 5杯
徳用スルメ 1袋
チョコレート(明●) 2枚
他、覚えてないが色々だ。
おおまけにまけて、100,000円にしておく。
主に迷惑料が80,000円だ。
――――――――――――――――


メールの返事届き、シャンクスは更に大声をあげた。

「ベェエエエエンッ!!ぼったくりだよぉおおおッ!!チョコ食わねぇし、コーラ飲まねぇし、テイクアウトって何だよぉおお!?」

「コーラ2Lをか?やるな、頭」

「俺じゃないって!何かの間違いだよ!!」

「ほぉ、鷹の目はチョコは明●派なんだな…」

「そんなの今、どうでも良いよ!どちらかと言うと俺はロッ●派だし!!」

「なら、直接聞いてみるんだな」

「見捨てないでーッ!!ベェエエエン!」

黙れ、ダメ社長ッ!!

今日も叶ヤ髪商事は平和です。そして、いつものようにシャンクスが可哀想なだけでした。

END

2013.0512.
【作成者】
停留所:カバ
日常茶飯事:憂



あとがき
停留所:カバ
憂様、この度は共同作成にご協力いただきましてありがとうございました
一緒に作成できて笑いが止まらなくて本当に充実した作成時間に感謝の言葉しかありません
そしてこれを読んでくださっている皆様にも感謝申し上げます
存分に笑ってくださいお願いします


日常茶飯事:憂
カバさんから、今回のコラボ企画の持ち込みがありワクワクしながら作成させて貰いました。ありがとうございます。笑いが止まらないし、妄想が膨らみまくって充実しまくっていました。これで、明日からの仕事も頑張れる…(笑)
ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。また、このようなコラボ企画をやった際は、お付き合い願います。そして、ちょっとでも楽しんで戴けたのなら幸いです(*^^)v


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