叶ヤ髪商事 | ナノ

第44話


※前回のあらすじ※
友人の付き合いで街コンに参加する事になった■■■。しかし友人が急に来れなくなり一人で参加している。その最中、回ってきた男性3人組がエース・マルコ・サッチだった。驚きを隠せない両者だったが、更に驚くことにこの街コンのイベンターとしてエースの義兄弟・サボが居た。



「あのさ、■■■ちゃん」

「はい?」

「今日はどうしてココに来たの?」


今更、この間柄で自己紹介するのも変だという事で、■■■がココに来た経緯を再度聞いてみる事にした


「だから、コレには友人が参加したかったんですって!でも一人だと寂しいから、一人2,500円でご飯食べ放題って聞いたから付き添いで来たんですよ?そしたら、急に行けないって云うし、現金先払いしてるから勿体ないし・・・ココにはご飯食べに来たんです」


■■■らしいが、絶対合コン等で云ってはいけないワードNo1だ


「お前は彼氏欲しいとかねぇのかよい?」

「別に?」

「・・・だろうな」

「逆に聞きますが、マルコさん達はどうして来たんですか?」


サッチならともかく、マルコとエースが来るのは珍しいと思っていた


「あ?サッチが行こうって誘ったからだよい」


マルコが面倒臭そうに答える


「エースは?」

「サッチが人数合わせに来いって云うから」


サッチ以外は不本意の参加だったらしい


「サッチさん」

「何だい?」

女の子にモテないんだね?

「!?」


超ド級のストレートでサッチの心は複雑骨折だ


「サッチ負けない!言葉のナイフなんて怖くないッ!!」


そう云いながらも、涙目だ


「ってか、サッチさんもそうだけど、3人共見た目はイケメンだから、こういう所とは無縁だと思ってたのに」

「なんか、少し引っかかる言葉があるが、別に無縁ってことねぇよい」

「え!?マルコさんって、もしかして肉食!?今流行りの肉食系男子なの?あ、男子じゃないか・・・おっさn」

「何だ?」

「いだだだだだだだだ」


オッサンと云われたのが不服らしく、アイアンクロウを掛けるマルコ


「おれだって、別に初めて来たワケじゃねぇけど・・・だからって、出会いを求めてるワケでもねぇよ」


エースが口籠る


「おれはYDKになりたいんだよ!」

「は?」

「だから!おれはね、YDKになるのが目標なの!」

「ゴメン、サッチさん。分かんない・・・」


サッチは少し酒が入っているのか、突然変な事を云い出した


「おれはね!Y:やれば D:できる K:子 サッチになりたいんだよ!」


熱弁しているが、要するに何でも挑戦して何でも体験したいらしい

合コンは行き慣れているらしいと、エースが隣で暴露している


「お前はY:やっぱり D:ダメな K:子 サッチだよい」

「ちょっとー!酷いよ!」

「もしくは、Y:やらせちゃ D:ダメな K:子 サッチかもな?」

「どういう事!?」

「あるいは、Y:酔っ払いで D:ダメな K:子 サッチさんかもよ?」

「■■■ちゃんまで!?」


サッチがグスンと涙ぐむ


「でもよ、お前も別にそんな気なくても、イイ奴が居たらちゃんと捕まえといた方が良いよい」


マルコが話を戻した


「えー?」

「えーじゃねぇよい。誰か居なかったのか、おれらが来るまでの間に!」

「・・・面白い人なら」

「大道芸人でも来たのかよい?」


街コンで面白い人を見つけても、それは収穫にはならないのではないだろうか?


「趣味が合うとか、“アイツ、良いな”って思うヤツ居なかったのかよい」


マルコがガンガン攻めるのを見て、エースは少し焦る

下手して■■■が誰かを気に入っても困るから、その手の話を振らないで欲しいと願っている


「ないですよ。だって私、こう見えて人見知りなんですよ?


耳を疑う一言だった


「お前のどこが人見知りなんだよい!?」

「マルコさんには分からないかも知れないけど、こう見えて私はチキンハートなんですよ!?豆腐メンタルなんですよ!?そりゃもう、グシャッと一気にやられますからね?取扱い注意です!!」

「威張ってんじゃねぇよい!変人が!!」

「いだだだだだだ」


こんな人見知りあってたまるか、と再度アイアンクロウ


「お?盛り上がってるね?あ、サッチさん、お酒頼みましょうか?」

「おぉーサボ君!おれはサボ君が欲しいぞ・・・君を1人くれよぉおおお」


サッチは心が複雑骨折で酔っぱらっており、再起不能のようだ


「お断りしますね。おれ、そっちの気ないんで♪」

「みんなが冷たいよぉおおおお・・・」


サッチの心は土砂降りだ


「残り5分ですよー」


笑顔で、しかも威圧的にエースに云うサボ


「んだよ、お前・・・」

「良いのか?おれより、マルコさんの方が彼女に近い感じするけど?」

「あ?・・・あれはいつもだよ。気にしてねぇ」

「分かってねぇな、お前。あぁいうのから進展するモンだろ?」

「は?」

「気付いたら、マルコさんの彼女になってたって事になるなよ?」

「・・・分かってるよ」

「頑張れよ?お・に・い・ちゃ・ん」

「このやろ・・・帰ったらぶっとばす」

「ハイハイ。ま、頑張れよ?応援してんのはホントだから。それと、彼女・・・手強そうだな・・・」


サボが遠い目をしている

それはエースを憐れんでの視線なのか、■■■という人間を見て途方に暮れたのかは分からない


になりたい



「はい。じゃ、時間になったんでテーブル移動です!みなさん、移動して下さい」


サボの掛け声で3人が■■■のテーブルから去って行く


「■■■ちゃん、どうだった?」

「んー・・・とりあえず、知り合いが居て良かったって感じかな・・・」

「あの3人の誰か、気になる人居たかい?」

ないない!


大きく手を左右に振りながら笑う■■■


「そっか・・・(エース、この子は難攻不落かも知れないぞ)」


初めは面白がっていたが、少し心配になってきたサボだった


END

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