叶ヤ髪商事 | ナノ

第42話


※前回のあらすじ※
幼少期より憧れていた絵本作家・コラさんの帰国に伴いサイン会が開かれる。初めてのサイン会参加にウキウキしている■■■だったが、ヤソップの非情なまでの仕事依頼の伝言に驚愕する一同。ベン・ベックマンのお説教により、泣く泣く仕事を優先する事となった■■■だったが・・・?


「(私、今日ほど仕事してて良かったと思った事ないわ・・・)」


■■■は3冊の本を抱え、行列に並んでいた


「(まさか仕事でコラさんのサイン会に並べるとは・・・)」


良かった、整理券けっこう大丈夫そうだなと一安心していると

背後に大きな気配を感じた


「フッフッフ・・・」


振り返ると長身のオッサンが絵本を持って笑っている

しかも、満面の笑みで満足そうだ


「楽しみだなぁ・・・」


ワクワクしていると、書店員がサイン会の整理券を配り始めた


「(3・・・2・・・1・・・)」


■■■で丁度最後の整理券が終わってしまう


「はい、ではサイン会を始めます!絵本作家のコラソンさんです!」


書店員の号令で絵本作家・コラソンが入場してくる


「(コ、コラさんだ・・・ト、トランプマンに近いじゃねぇか!)」


あながち、シャンクスが云っていたことは間違ってなかったと心の中で呟く

何でこの人、白塗りなんだろうか?そんな疑問が頭を支配する


「はい、では最後の方どうぞ」


遂に自分の番になり、緊張が走る■■■


「あ、あの!ち、小さい頃からコラさんの絵本のファンで・・・あの、“フラミンゴとくま”が宝物なんです。サイン、お願いします!!」


絵本を差し出しながら頭を下げる


「お、お客様?大変申し訳ありませんが、今回は新刊をご購入してのサイン会になりますので・・・」


書店員が注意を促すと、肩をトントンと叩くコラさん


構わない。サインするよ


コラさんが書店員にプラカードで意思表示をする


「良いんですか!?あ、ありがとうございます!(何でプラカード?)」


小さい頃からの宝物の絵本にサインをして貰い、満足する■■■

もちろん、新刊の“黒ねこくんのおひっこし”も2冊分サインして貰った(1冊は自分、もう1冊が依頼者分)


「・・・・・・」


サインしている様子をジッと見つめていると、突然見上げられる


「あ、あの・・・?」


そして突然立ち上がるコラソン


「ど、どうしたんですか?」


ワシャワシャワシャ・・・


「ちょ、え!?・・・えぇ!?」


めっちゃ撫でられてる

頭がもげそうなくらい撫でられてる

憧れのコラさんに、めっちゃ頭撫でられてる


『次の作品楽しみにしててくれ』


プラカードでの意思表示にツッコミたいが、撫でられた事の方が衝撃的すぎる


「あ、あの・・・ありがとうございます。次回作、楽しみに待ってます」


でも何でだろう?

トランプマン感が払拭できないせいか、手から炎を出した瞬間に手まで燃やしてしまいそうな雰囲気がある

そのせいか、次回作については聞かない方が良いと感じた


『今日はありがとう。またね』

「あ、はい。ありがとうございました」


ヒラヒラと手を振り、プラカードには“気を付けて〜”と書いてあった

憧れの絵本作家が、思った以上に愉快な人間だったのは収穫だ


絵本作家のサイン会2



「サインも貰えたし、今日は良い日だったな~♪」


ウキウキしながら書店を出ると、大きな黒い影が見える


「なんで・・・おれ、朝からちゃんと並んで・・・グス・・・本だって買ったのにぃ・・・グスン」


私の真後ろに並んでいた大きなオッサンが泣いていた


「あ、あの・・・?」

「グスン・・・」


大きなオッサンが振り返る


「コラさんのファンなんですか?私、2つ持っているので1つ良かったらどうぞ?」


勿論、最新刊の方を渡す


「・・・え?」

「コラさんのサインが欲しくて並んだのに、整理券貰えなかったんでしょ?ドンマイ!!」


親指を立て、満面の笑みの■■■


「いや・・・その・・・」

「あ、その代わり、こっちの最新刊と交換ね?」


■■■はサイン本と普通の最新刊を交換し、その場を去る


「アイツ・・・超イイ奴じゃん・・・」


店先で大号泣していたオッサンが、実は弟のコラソンに会いたいのにローの策略で会えなかったからサイン会に並んでまで来たドンキホーテ・ドフラミンゴだったとは知らない■■■だった・・・


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