第39話
「さぁ、食べてッ!!」
事の発端は、■■■がおれに弁当を作ってくれるって話だったんだ
*****
「あ、エース!」
「よぉ、■■■!どうした?」
「今日はマルコさんに用事があったんだ。居る?」
「居るんじゃねぇ?今日は外回り殆どねぇから」
「そっか。エース、今からお昼?」
「あぁ。今日はマッ●でも食うかな」
「毎日外食なの?」
「え?あ、あぁ・・・サボが居た頃は弁当作って貰ってたけど、アイツ外国行っちまったから弁当ねぇんだ」
「へぇ~・・・あ、じゃあさ、今度、私が作ってあげるよ!」
思い掛けない■■■からの申し出
気になっている女の手料理を食べられる、またとないチャンスだ
「良いのか?」
「うん!今ね、サンジ君からお料理教えて貰ってるから、上手くなったんだよ?」
「おう!楽しみにしてるぜ?じゃ、またな!」
そう云って別れたんだ
そして、数日後、■■■からメールが入ったんだ・・・
*****
「さぁ、食べてッ!!」
目の前に差し出された弁当
1つのテーブルを囲むのは、おれ・■■■・ルフィ・サンジの4人
「何でサンジとルフィが居るんだ?」
「サンジ君はお料理教えてくれたから、その成果を見て貰おうと思って。ルフィ君は・・・ここの住人だし?」
そりゃそうだな、おれとルフィは一緒に住んでんだからな・・・
「■■■、サンジから教えて貰ったんだろ?すんげぇ旨ぇんだろーなぁ!!」
ルフィの期待値は相当高いらしい
「当たり前だ、おれが教えたんだからな!」
サンジも、自分が手ほどきをしたんだから当然だ。という顔をしている
「ま、とりあえず食おうぜ?いただきます」
「いっただきまーす!!」
「じゃ、遠慮なく。いただきます」
3人がそれぞれの弁当に手を付け始める
「・・・?」
「・・・」
「・・・!」
3人が固まる
「どうしたの?3人して・・・?」
不安そうに見つめる■■■
何と云ったら良いのだろうか?食えなくはない。だが、旨くはないんだ
「■■■、コレ、すんげぇーまじぃぞ・・・」
ルフィがダァーっと口から溢す
「
ルフィィイイッ!! 」
あまりにもストレートな物言いのルフィを止めたが、時すでに遅し
「■■■ちゃん・・・おれが教えた通りに作ったんだよね?」
サンジが涙目だ
相当のダメージを受けている
そうだよな、料理のプロが教えたのにこの出来だからな・・・
「
うわぁああああん!!ちょ、ちょっと、台所貸してッ!! 」
■■■が泣き喚きながら台所へ走って行こうとする
「ちょ、待てって!■■■ちゃん、早まるなッ!!」
サンジが必死で引き止めている
「ホントにごめんッ!ちゃんとね、サンジ君のくれたレシピで作ったんだよ!?なのに、なのにぃいいいッ!!」
■■■がご乱心だ
「■■■、落ち着けって。大丈夫、ちゃんと食えるから。作ってくれてありがとうッ!!」
「・・・へ?」
あぁ、コイツ、本当に頑張って作ってくれたんだもんな
なのに、ルフィに不味いって云われて
サンジに涙目で“レシピ通り作ったのか?”って云われて
女の子なら傷付くよな・・・
「ホント!!
ごちそうさまでしたッ!! 」
パンッ!と両手を合わせてお礼を云う
「エース・・・」
「おい、ルフィ!お前らもちゃんとお礼云えッ!作って貰っといてお礼も云えねぇのかよ?」
「あ、うん。■■■、ありがとう。でもよ、今度はもう少し旨ぇの食いてぇな!ニシシシシッ」
悪戯っぽい笑顔で告げるルフィに拳骨をお見舞いする
「ルフィッ!!」
「アダっ!?なんだよ、エースぅううう・・・」
「■■■ちゃん、作ってくれてありがとう」
「ルフィ君、もっと修行して美味しいの作れるようになるから!サンジ君、今回は失敗しちゃったけど、また教えてくれる?」
「楽しみだなぁ!」
「また聞きにおいでよ。いつでも教えてあげるよ」
一瞬凍りついた部屋も、今では笑顔で盛り上がっている
「エースッ!」
「ん?」
「今度はもっと、上手になったらお弁当作って持ってくることにする!それまで、この約束保留でも良い?」
■■■は申し訳なさそうに俯く
「待ってるぞ」
「うん♪」
この笑顔を見て思った
おれ、■■■のこと好きなんだって気づいた
気付いた恋
「ふざけんなよ、ダメ社長ッ!!」
「何でだよ!?」
「社長のお弁当が、私より上とか・・・上とか・・・うわぁあああああんッ!!」
「あ〜ぁ、大事な部下泣かせやがって・・・」
「何でそうなんだよ!?だったら、毎回1位のベンは何だってんだよ!?」
「おれは殿堂入りだからな」
「ベンさんのは良いんです。勉強になるから・・・なのに、社長のこんなのに負けるなんて・・・」
■■■はシャンクスの作った弁当を見て大号泣だ
「こんなのって云うなよ!?一生懸命作ったんだぞ?」
「ってか・・・お前、サンジに教えて貰ってんじゃなかったのか?」
「うわぁああああああああんッ!!」
「ベンが■■■泣かしたぁ〜」
今日も叶ヤ髪商事は平和です
END
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