第21話
「あ、ベンさん」
「■■■、どうした?こんな所で」
こんな所、それは給湯室だ
決して広い場所とは云えない所で、大人2人
しかも、1人はがたいの良い男だ
「せ、狭いですね・・・」
「そうだな。俺は客人に茶を淹れているんだが、お前は?」
「え?お客さん来てるんですか!?云って下さいよ」
「お前は席を外していたからな。茶くらい淹れる事は出来るからな、特に困らなかった」
ベンは手慣れた様子で、急須を上下にしながら茶を淹れる
「私、ちょっとロッカーに行ってました」
「・・・何だ、それは」
「
青汁です 」
「青・・・汁?」
こんな年若い娘が嬉しそうに持っているモノ、それはスティックタイプの青汁だった
「最近、お肌の調子も悪いし、何より野菜不足な気がして・・・」
「職業柄、あまり規則正しい生活を送れないからな」
「そうなんですよ!だから、コレに頼るようになっちゃって」
「だが、実際に野菜を食ったらダメなのか?」
「
今、野菜って高いじゃないですか! 」
「そうだな・・・」
青汁を買う金で、野菜を買ったらどうなんだろうか?とベンは思っていた
「ベンさん・・・」
「何だ?」
「こういう話してると、
女子社員同士の会話みたいですね!」
「・・・そうか?」
決して俺は女子じゃないぞ、そう云いたかったが面倒になったベンは受け流した
「あ、ベンさん?」
「何だ」
「
お茶、零れてますよ? 」
「それを早く云え!!」
慌ててお盆に溢れた茶を捨て、拭き始める
「ドンマイ!」
「そうだな・・・」
ちょっと遅れて客人に茶を持って行ったが、既に客人は帰っていた
給湯室での会話
「社長、今日のお客さんって誰ですか?」
「あぁ、ベンが茶を出しそびれた奴か?」
「その云い方はやめろ」
「ダハハハハ!そうだ、今度の仕事、■■■が行く事に決まったから」
「は?」
「頭、鷹の目の所に■■■が行くのか?」
■■■はポカーンとしている
「誰ですか、その人」
「古い友人でな!行けば分かるさ」
「はぁ・・・」
バギーさん以外のお得意さんって事だけを知らされた■■■は、依頼日を待つのみだった
END
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