叶ヤ髪商事 | ナノ

第18話


「・・・ん?」


目が覚めると、そこは職場だった


「何で・・・?」


昨日は自宅で、きちんと布団に入って眠っていた筈なんだが・・・


「あ、起きた。ベンさん、起きましたよ?」

「そうか。■■■、一緒に交番に行って来い」

「はい。じゃ、準備してきますね」


■■■とベンが会話している所を眺めているが、何で交番なんだ?


「ったく・・・昨日の戸締り頼んだの、失敗だったな・・・」


ベンがボヤいている


「あ、あのよ?」

「ん?」

「俺、昨日・・・戸締りしたぞ?」

「・・・・・・」

「どうした?ベン」


シャンクスを見下ろしているベンは、咥えていたタバコをポロリと落とした


「 ■■■、頭が居た・・・ 」


ベンが珍しく焦っているようだ


「え?今頃出勤ですか?また寝坊でもしたんですかねぇ・・・?」


呆れながら、コートを羽織りオフィスに入ってくる■■■


「いや・・・このガキがそうだ」

「・・・え?」

「・・・俺?」


この場に居る3人がそれぞれの顔を見合わせる


「「「 えぇええええッ!? 」」」


オフィスに響く驚愕の声


「ぉ、お、俺・・・小っちゃくなっちゃった!

「・・・小さいですね」

「ガキだな・・・」


シャンクスは見た目は子供、中身は残念なままの姿になっている


「ど、どうして・・・?」

「俺が聞きてぇ・・・」

「・・・不思議な事もあるもんだな」


グリグリとシャンクスの頭を撫でるベン


「やめろよ!?頭がもげるだろ!?」

「今ガキだから、威嚇しても怖くねぇぞ?頭・・・」


子供扱いされる事に不満を覚え、睨みつけても敵わない


「おい、■■■も何か云ってく・・・■■■?」

「・・・・・・」

「■■■ちゃーん?」


シャンクスは■■■に助けを求めているが、固まっている


か・・・可愛いッ!!


どうにも子供の容姿をしているシャンクスが気に入ったのか、■■■はシャンクスを抱き締めている


「・・・中身はいつもの頭だぞ?」

「知ってます。でも、可愛いじゃないですか。社長、ずっとこのままで居て下さい!」

「一生かよ!!」


でも、■■■に可愛いと云って貰えるならそれも悪くないと感じているシャンクス


「見た感じ・・・3〜4歳?」

「2等身・・・マンガだな」


云いたい放題のベンと■■■


「でも、こうも小さいと生活が不便ですよね?」

「・・・玄関も開けられねぇだろうな?そもそも、誘拐されんじゃねぇか?」

うわ・・・俺、めっちゃ無力

「「 いつも無力だ(です) 」」


酷い云われようだ


「ベンさん、暫く引き取れますか?」

「いや、無理だな・・・アレに断ってねぇし、ましてや子供になった頭だぞ?」

「ヤソップさんは出張だし、ルウさんと暮らしたら食生活心配だし・・・」

「なら、■■■、お前が引き取れば良いだろ?」

「・・・え?」

「ちょ、ベン!?」

「お前、1人暮らしなんだろ?それに、男っ気もねぇんだ。ちょうど良いだろ?」


ベンの無茶ブリが新年から炸裂している


「ベン、いくら俺でも独身の女の部屋に上がり込むのはちょっと・・・」

「あぁ?今までに色んな女んトコに転がり込んでたくせにか?今更な話だぞ?」

「・・・ベンさん、私・・・聞いちゃいけない事をサラリと聞いてしまった気がします」


シャンクスが涙目だ


「・・・子供になっちゃった社長を放っておけないし、とりあえず救済措置って事で、私が引き取りますね?」

「頼んだぞ、■■■」

「・・・ぉぃぉぃ」


シャンクスを余所に話が進んでいってしまう


「じゃ、社長、今日はおとなしく事務職でお願いします」

「・・・あ、あぁ」


■■■に書類を渡されると、自分のデスクに座る


「・・・(あぁ、やべぇ。スゲェ眠いんだけど)」


身体が子供だからなのか、シャンクスが普段からこんな状態だからなのか眠気に襲われ始める


「社長?」


■■■が遠くで呼んでんなぁ

もう帰る時間か?あぁ、準備しねぇとな・・・


今年最初の災難



「社長?」

「・・・ん?」

「あ、■■■・・・もう帰るのか?今、準備する」


目を覚ますと、■■■に急かされている


「何云ってるんですか?帰りませんから!早く外回りの準備して下さいよ!!」

「え?外回り・・・何で?」

「・・・今、仕事中ですよ!?」


こんな状態で外回りなんて出来るワケがないだろ?とシャンクスは驚いている


「だって、俺、今・・・ガキになってる・・・」

「・・・はぁ?社長、頭でも打ったんですか?」


■■■が本気で心配をし始めた


「いや、さっきベンと一緒に、ガキの姿になった俺のこと引き取るってお前が・・・」

39歳の子供なんて引き取りたくありませんけど

「・・・全身全霊で否定したな」

「夢でも見てたんじゃないですか?」

「夢・・・?」


確かに夢のような話だ


「因みに、ベンさんは今日は年休なので居ません。よってそれは夢です!!さっさと行きますよ?」

「あ、はい・・・」


■■■に促され、会社を出る2人


「さっきのが夢だとしたら、俺の初夢なんだけど・・・」

「うわ、最悪だ・・・」

「そういうなよ。ガキになった俺を喜んで抱き締めてたぞ?お前」

「勝手に出して、勝手にそんな事させないで下さいよ」


ボヤキながら外回りのために車を運転する■■■を見てニヤニヤしているシャンクスが殴られたのは、云うまでもない


END

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