叶ヤ髪商事 | ナノ

第16話


「 宴だぁあああッ!! 」


とある呑み屋の一室に響く乾杯の音頭


「・・・」

「お疲れ〜」

「ウィーッス」

「お疲れ様ですー」


各々のグラスを傾け、杯を交わす


「この為に生きてるんだ、俺は!!」


ダメ社長は酒を呑むために生きているらしい


「あんまり飲み過ぎるなよ?明日は取引先に挨拶回りだからな?」


ベンが小さく注意を促す


「頭に禁酒は無理だろ?」

「そうだそうだ」


ヤソップとルウは、始めからシャンクスが加減をして呑むだなんて思っていない


「そういえば、ヤソップさんはウソップ君にクリスマス、何かしたんですか?」

「いや?もうそんな年じゃねぇしな、アイツも」

「えぇ〜?可哀想ですよ!いくつになってもクリスマスは嬉し楽し大好き!なモノですよ!?」


それは■■■だけだと思ったヤソップ


「ウソップっていやぁ、この間、ルフィが忘年会が何たら〜って云ってたな?ヤソップんトコの息子は何やるんだ?」


シャンクスがヤソップに尋ねる


「あぁ・・・何か一芸披露するとか何とかって云ってたなぁ・・・」

「ヤソップさん、知らないんですか?」

「いや、アイツがデケェかばんからハト出してたのは見たな」

「「「「 ハト!? 」」」」


ヤソップの息子は、どうやら手品を披露するらしい


「そいつは傑作だな!新年会の余興やって貰おう!」

「いや、社長?急にはちょっと困るんじゃないですか!?ね、ヤソップさん!」

「いや?アイツ、大丈夫じゃねぇか?冬休みだし」


ウソップの為に云った一言を、父・ヤソップはあっさりと覆した


「ところで、■■■・・・」

「何ですか?」


ココまで黙っていたベンが口を開いた


「さっきから電話が半端なく鳴っているぞ?」

「え?あ、ホントだ。ありがとうございます」


■■■は部屋の片隅に行き、電話に出ている


「■■■に電話って珍しいな?」

「アイツ、自分で云ってたもんな?1日ほっといても鳴らない事が多いって」

「それはそれで女子としてどうなんだ?」

「■■■には、女子力という物が備わってないんだろうな?」


云いたい放題の男4人


「あ、ホント!?じゃ、明後日。うん・・・うん」


ふと■■■の方を見遣ると、嬉しそうに電話をしている


「でも、あれって女同士って感じじゃないよな?」

「・・・男って感じもしないぞ?」

「じゃあ、相手は・・・オカマか!?」

「それは無いだろ?普通に考えて・・・相当酔ってるぞ、頭・・・」


シャンクスはナチュラルに酔っているらしい


「どうしたんですか?4人で固まって話して・・・?」

「ちょっと聞いていいか?■■■」

「・・・何ですか?」


訝しげに顔を顰める■■■


「さっきの相手は誰だ?」

「・・・さっきって、電話のですか?えっと、サンジ君ですよ?」


ヤソップは、真剣な眼差しである

そして、4人は確信した

■■■に男が出来たと・・・


「サンジ・・・あのコックか?」

「ハイ。バラティエのコックさんです。お料理上手なんですよ?」


ベンは記憶の片隅で、コック・眉毛・女にだらしない若造というイメージを浮かべていた


「■■■、サンジってヤツと付き合ってんのか?

「・・・え?」


ルウに聞かれ、■■■は固まる


許さぁあーんッ!イカンぞ!■■■ーッ!!」


シャンクスが大声で叫ぶ


「ど、どうしたんですか!?」


■■■は、何故怒られているのか分からない


「■■■、良いか?お前はまだ若いんだ。それがどーして、あんなグルグル眉毛なんだよー!?」

「ウソップの友達だから、悪い奴ではない事は保証する」

「アイツ、肉料理得意だから良い奴だぜ?」

「・・・女にだらしないというイメージはいかがなモンだろうな?」


口々に溢れてくる言葉に、■■■はパニックだ


「どうしたんですか?サンジ君がどうかしたんですか?」

「どうしたもこうしたも・・・付き合ってんだろ?

「は?誰がですか?」

「サンジと」

「サンジ君と・・・誰が?」

「■■■が」

はぁああああ!?


4人の発言に、ただただ驚く■■■


「どうしてそうなるんですか!?」

男っ気のないお前に、男から電話なんて・・・それ以外考えられないだろ!?」

「・・・失礼なんですけど?」

「違うのか?」

「違いますよ?初詣のお誘いでした。ルフィ君やウソップ君達も一緒ですよ?」


■■■がそう云うと、4人は固まった


「 は 」

「 つ 」

「 も 」

「 ・・・で? 」


首を傾げながら4人が再度固まる


「はい」

初詣のお誘い電話だったこと以上の事は、■■■にはない


「何だよ!?男じゃねぇのかよ!!」

「面白くねぇー!!」

「■■■、お前も女なんだから男に1人や2人、作れよー?」

「2人はどうかと思うぞ・・・」


4人のオヤジ達は、最早出来上がっている


「・・・いや、そんなに期待されても応えられないですよ?」


■■■には、縁遠い話でしかなかった


バナ?



「頭、父親みたいなこと云ってたな?」

「許さんって・・・娘じゃないんですけど・・・」

「いや、あれは本気だったぞ?」

「■■■、サンジはやめとけ・・・頭に斬られるぞ?」


何故か、シャンクスの許しが必要らしい


「何だかんだで、頭って■■■の事を可愛がってるよな?」

「出来の悪い子ほどってヤツだろうな?」

「酷いッ!!」

「まぁ、嫌われてるよりマシだろ?」


結果、■■■は叶ヤ髪商事の紅一点だってことです


END

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