Clap
小噺を少々…全5話。


チャッポー・・・ン


「・・・で?」

「ん?」

「なんで、アンタまで一緒に入ってるワケ?」

「なんでって一緒に入りたいから


事の始まりは10分前

季節外れの土砂降りで、びしょ濡れになった私とサッチ

冷えた身体を温めるために風呂に入ろうとしたのがきっかけだった


「出てってよ」

「ヤダ」

「じゃ、私が出てく」

「それもヤダ!」


出て行こうとする手を掴まれる


「ちょ、サッチやめてよ」

「ちゃんと肩まで浸かって100数えなさいよ・・・」

「お母さんか!」


ちゃんと肩まで浸かりなさいと、湯船に戻された


「こうやって、お風呂で話すの良いじゃない・・・」

「なんで拗ねてんの?」

「拗ねてませーん」


サッチはソッポを向いて頬を膨らませる


「いや、拗ねてるでしょ・・・?」

「だって久しぶりだよ?会うの。沢山一緒に居たいじゃん」

「サッチ・・・」

「1か月ぶりだぞ?」

「そう・・・だね・・・ごめん」


2人で入る湯船は狭く、拗ねているサッチが更に体育座りをしているからか申し訳なさが増す


「だから、今日はおれにかまってくれ!」

「・・・プッ!ハハハ、分かった分かった」


普段から子供じみた言動のサッチを見ていたが

今回ばかりはお互いの仕事なども重なって暫く会えずにいた

申し訳なさからなのか、自分もサッチと同じ考えなのか分からないが

サッチの今回の言動は笑うしかなかった


「な、なんで笑う?」

「いや、お風呂っていいね」

「え?」

「だってさ、お家の中で唯一スマホとかPCとかを持ち込まない空間じゃない?」

「まぁ、そう・・・かな?」

「だから、こうやって沢山お話出来るね」

「そうだな」


いい



「でもさ、最近じゃスマホをジップロックとかに入れて持ち込んだりする子もいるらしいけどね?」

「無粋なことすんなぁ・・・」

「私はしないから安心して。ジップロックが突然開いたら?とか小さな穴が開いていたら?とか考えたら怖くて出来ないから」

「不安要素なくなったらやりそうだなぁ・・・」




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