彼方 | ナノ
 
『彼方』ここまでお読みいただきありがとうございました。蛇足ではございますが、後書き及び言い訳的なものを少しだけ。
(私の認識が夢主=高峯翠くんの彼女、なため、以下では『彼女』と表現しています)

最初から最後まで高峯翠視点で追っていく形の連載になっていますが、ここでのポイントは「彼の見ている景色が世界の全てではない」ということです。当たり前ですけど、高峯の知らないところでいろんな人物のいろんな感情が動いてます。ただ、私の書く高峯翠は――最終話で描写したとおり――『自分に自信がなく思い込みが激しい』タイプだったので、割と歪んだというか、穿った見方をずっと捨てられず、あらゆる出来事が「彼女は守沢先輩が好き」という前提で進んでいくわけです。
ゆえに、彼女の高峯に対する意識が何をきっかけにどう変わっていったのか、そういうことが非常に分かりづらい話になってしまった気がします。一応、高峯も気づかないくらい(笑)さりげなく、時々でヒントを入れたつもりではいたのですが…。
しかしまあ、これは『夢小説』なので。読んでくださったみなさまが高峯翠に共感して、感情移入して、「早く幸せになって!」と思った瞬間から、彼女は高峯に恋をしていたのかもしれませんね。
この『彼方』は「高峯の思いが報われるまでの話」であると同時に「高峯が彼女の思いに気づくまでの話」でもあるのです。

誰かを好きになるって本当に儘ならなくて、どうにかこうにかもがいているうちに独り善がりになってしまっていることとかもたくさんあって。グルグル考え込んでいるうちに私の中に高峯翠が5人くらい出てきて突然脳内会議を始めるものですから、実に主張に一貫性のない――「自分の彼女に対する気持ち」と「(守沢先輩を好きであるはずの)彼女の幸せ」を載せた天秤が、毎度あっちこっちに傾く――彼の『ただの高校生の男の子』な部分がよく出ている話になったかな、と。おかげで途中、書いてる私さえも「高峯がいま何を考えてるのか分からない…」と頭を抱えた場面がありましたけど(笑)

迷って、挫けて、間違えて、そうしてひとつひとつ選んでいった高峯翠の道が「ハッピーエンド」に繋がっていることを証明したかった。
書けてよかったです。私は高峯翠が好きです。



たべた 拝 
 
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