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(12.12.11)


シスコンシリーズの三郎






子供は案外嫉妬深く、母親の愛に貪欲だという。
だからこそ母親の胎内に作られた新しい命に、誰よりも早く気付き、嫉妬する。
母親を奪うなと。世に言う赤ちゃん返りというやつだ。

例にもれず三郎も、母親の胎内に宿った命を母親よりも早く感付いた。
とくん、とくん。跳ねる命の鼓動に、瞳から熱い雫が零れる。
突然泣き出した子供に慌てる母親など無視して三郎ははらはらと涙を流した。

頭の奥底で鐘の音が響く。それの意味する音は、どちらでもよかった。
おめでとう思い出してしまいなさいと告げる祝福の音でも、それを思い出してはいけない閉じておきなさいと禁忌に触れる警告の音でも、どちらでも良い。これは、命の音だ。
母親の腹に手を添える。硝子のおもちゃに触れるように、優しく、そっと。そうして三郎は、ふうわりと笑った。
慈愛にみちたしかし狂喜のようにも見える笑みに母親は粟立つ。

ちいさな息子は優しく狂った笑みで母親の腹に耳をあて、誰にも聞こえないような声で呟いた。

(おまえにあえるのをまっていた。)




何千年も前から、









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妹が産まれる前
誰よりも早く気付いてその瞬間前世を思い出した三郎

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