■八月十八日


ここに来てから何度目かのくしゃみをする沢田に寒いのかと尋ねると首を横に振ったが、とりあえずクーラーは切っておいた。
が、彼の頬は赤く染まり目もだんだんとろんとして美味しそうに・・・いや、辛そうになってきたので、家まで送ることにした。
大丈夫という沢田を黙らせ肩を抱きながら家路を歩く。
沢田家についてチャイムを鳴らすと、女性の声と共に沢田そっくりの顔が現れた。
思わず「両親と顔合わせ」というテロップが頭の中に流れたが、動揺を隠し普段の仏頂面を見せぬように(この顔の前ではそれも可能らしい)微笑んだ。
「息子さんの具合が悪いようなので、お連れしました」
母親らしき(これで他人だというなら遺伝子について再研究しなくてはならないだろう)女性はあらあらと言いながら沢田の頬を両手で包んだ。
「熱があるみたい・・・送って来てくれてありがとうね」
「いえ」
彼の具合は心配だったが、後は彼女に任せることにし、背中を向けた。
と、背中から、
「ヒバリさん・・・すみません」
と沢田の声が聞こえたので、一度彼に笑みを向け、早く直しなよと声をかけてからその場を後にした。




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