■八月十六日


「涼しい・・・」
応接室に入るなり沢田は幸せそうな声を上げた。
連日の猛暑のせいで、かなりバテ気味なようだ。
そのままソファーに倒れこんだ沢田は背もたれに身を預け、ネクタイを緩めて寛いだ。
僕もその隣に腰を下ろし沢田の首元に顔を寄せた。
触れなくとも、僕より三分位は高いだろう子供の体温を感じる。
「・・・汗の匂いがする」
小さく呟くと、沢田は急に身を起こし、ソファーの端まで飛びのいた。
彼らしくないすばやい動作に吃驚して目を丸くすると、彼の顔が見る見る赤くなった。
「す・・・すみません・・・」
「・・・何謝ってるの?」と尋ねると、だって汗がどうのと聞き取れない声でぶつぶつ言うので、嫌がる彼を押さえ込んで首筋に唇を寄せた。
「甘い、匂いだ」
秘密を教えるように小さな声で囁き汗ばんだ首元にキスをすると、小さなうめき声が聞こえ、僕の腕の中で身体を丸め固まってしまった。
そのまま名前を呼んでも動かない。

・・・もうちょっとゆっくり慣れさせていかないと、ダメらしい。




prev next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -