■七月二十日


なんだか朝からふわふわとしている。
気を引き締めていないと口元が緩んでしまうし、あの子の顔を思い出すたび、胸の辺りに熱い液体が注がれていくようで、その熱に触れた周りの内臓までもが熱を持ちながら、きゅっと締め付けられるような感覚に陥る。

今日はもう何度も応接室の窓から校庭や向かいの渡り廊下を眺めては、目を細めてあのふわふわの茶色を探している。
時々目に入るものにはっとしては、まるで違う物体を確認して眉をひそめる。
我ながら、重症だ。

一日中そんなだったから、沢田が放課後やってきたときにはもう頭よりも先に手が動いてしまい、きつく抱きしめて舌で彼の舌を絡めとっていた。
この前みたいに理性が利かなかった訳ではない。
いくらしつこいとはいえ、あの小さい口の中だけなのだ。
あちこち舐め回したい欲求は抑えたのだから、褒めてもらいたいものだ。

散々口腔を犯してから唇を離した後、彼をソファーに座るよう促した。
確認しておかなければならないことがあるのだ。
でないと、いろいろと、先に進みにくい。
「ねえ、沢田」
隣に座った僕は、恥ずかしそうに俯く沢田を見つめながら顔を寄せた。
「君、僕のこと、どう思ってるの?」
するとまださっきのキスの余韻を漂わせていた沢田が、きょとんとして僕を見つめる。
その様子を見て、僕は違和感を覚えた。
こういうときは恥らうとか、そんな反応をするものじゃないの?
口を尖らせて考えるそぶりを見せていた沢田は、やがて顔を上げ、こてんと小首を傾げて(そのしぐさはまたたまらなく可愛かった)言った。
「おとうさん・・・?」

何で疑問形?





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