■七月十九日


昨日の帰り、あんならしからぬ行動に出た沢田は、案の定下校のチャイムが鳴っても応接室に来なかった。
あの子の考えていることなどすぐ分かる。
今頃恥ずかしさに身悶えていることだろう。
しかしだからと言ってこのままにしておく積もりはない。
僕の決心を鈍らせた責任は取ってもらう。

僕は2−Aの教室へ行き、相変わらずもたもた片づけをしている沢田を有無を言わさず連行した。
無言で彼の腕を引き応接室に連れ込みドアを閉めると、沢田を壁際に追いやり唇を押し当てた。
そして驚いて半開きになっていた沢田の口の中に強引に舌をねじ込み、思う存分堪能した。
もう遠慮するつもりはない。沢田も、こうする事を望んでいるのなら。
今回は冷静に、前歯がぶつからないよう注意しながら、丹念に歯列をなぞっていく。
上顎を舐め上げたとき沢田の体がびくりとしたのが可愛くて、腰を抱く腕に力をこめた。
もう止められない。そう思い始めた時、
コンコン、と、軽いノックの音が聞こえ、沢田が飛びのいた。
入ってきた草壁は、僕と頬を染め息を切らしている沢田とを交互に見やると、苦笑いを浮かべ、書類を置いて速やかに出て行った。
僕は外した視線をもう一度沢田に戻し、歩幅にして三歩分ほど離れてしまった沢田に近づいた。
「これからは、毎日こういう事、するよ?」
と耳元で囁くと、彼は紅い顔を更に紅くして頷いた。
そのしぐさがやけに可愛くて、俯いている沢田の額をぺろりと舐めてみた。
びくりと肩が震えたけれど、抵抗はなかった。
それは、沢田も僕と同じ気持ちなのだと取ってもいいという事だろうか。

そのあとも離れがたくて、僕は暫くの間彼の柔らかな髪に顔をうずめてその甘い匂いを嗅いでいた。





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