■七月八日


今日で試験が終わる。
沢田も僕も、やっと解放されるのだ。
また試験準備を始める前のように、甘い雰囲気が流れるだろうか。不自然にはならないだろうか。
そんなことを朝からずっと考えていた。
そのせいか。

どんどんと背中を叩かれてはっと我に返った。
気付けば僕は、応接室に入ってきた沢田を力の限り抱きしめ、噛み付くように唇を重ねていた。
前歯が痛い。
口腔の奥の奥まで舌を差し入れようとしたために、がちがちと前歯が何度もぶつかり合ったのだ。
ようやく僕の腕から開放された沢田の紅い顔が目に入り、さっと血の気が引いた。
よほど怖かったのか目元を潤ませ、荒い呼吸を繰り返している。
やってしまった。
怖がらせるようなことはしたくなかったのに。
「さわだ・・・」
呼びかけはしたけれど、なんと続けて良いか判らずに、僕はただ彼を見下ろしていた。
すると沢田は突然僕の胸に身体を預け、しがみ付いてきた。
密着した体が、小刻みに震えているのが分かる。僕は震えを止めようと、その小さな肩を抱きしめた。
「怖かった?」
と聞くと、胸の中でフルフルと首を振った。
その震えが収まるまで、僕らはそのままでいた。




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