■六月三十日


今日は代わりに草壁が教えることになった。
僕は仕事をしながらその様子を伺っていた。
沢田は暫く真剣に取り組んでいたかと思うと、突然、
「できました!」
と叫んだ。
僕は信じられない思いで二人を凝視した。
「うん、やれば出来るな」
「草壁さんの教え方、上手だからですよ!」
沢田ははしゃいで言った後、「あ」と口元を手で押さえた。
草壁もはっとして、横目で僕を見、目を逸らす。
応接室に、気まずい空気が広がっていった。




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