■六月二十七日


昼休み、僕は沢田が来るのを落ち着かない気持ちで待っていた。
いきなりしてがっついているなどと思われたくはない。
やはりここは普段どおり振舞って・・・食後、給湯室でがいいかもしれない。
並んで弁当箱を洗いながら、さりげなく唇を近づける。
そんな計画を立てていた。なのに。
ノックの音がして沢田が応接室に入ってきた途端、そんな計画のことなどどこかに飛んでしまい、彼に近づいて頤に手を掛け、唇を重ねた。
舌まで差し込まないでいたのは僕の僅かに残っていた理性のおかげだろうか。正直自分がこんなにも我慢の利かない人間だとは思っても見なかった。まあ、我慢強いとも思っていなかったが。
触れるだけのキスで我慢した分、何度も何度も離しては触れる行為を繰り返した。
ようやく満足して顔を離すと、真っ赤になった沢田の顔が目の前に見えた。
「ぎゅって、したい?」
微笑みながらそう聞くと、こっくりと頷いて僕のほうに両手を伸ばす。
沢田はこの前のように僕の頭を抱え、優しく撫でた。
まるで、子供にいい子いい子とするように。
そうされていると、僕の方がなんだか幸せな気持ちになってくる。
沢田はどんな気持ちでいるのだろうか。
暫くして彼が手を離したので僕も姿勢を正し、顔を見合わせて微笑んだ。
「・・・お弁当、食べましょうか」
「・・・うん」
ちょっと照れくさいような気持ちを感じながら、僕たちは弁当を広げ始めた。




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