■五月二十六日


今日もまたローテーブルに雑用が積まれており、メモには「沢田さん用。委員長は絶対に手は出さないで下さい!」とあった。
昨日の事があったので沢田にやらせるのは気が進まなかったが、とりあえず彼に渡してみた。
沢田は上目使いにちら、と僕を見てから、仕事に取り掛かった。
相変わらず要領が悪く僕を苛々させたが、我慢してそのまま見ていない振りをした。
彼は始終真剣な顔で書類とにらめっこをしていた。本当ににらめっこをしているのかと思うほど作業は進まない。何をそんなに悩んでいるのだろう。
小一時間ほど経った頃、突然沢田は大声を上げた。
「できました!」
近づいてみると、確かにそこには不恰好ではあるが一部ずつまとめられた資料が並べられていた。
いろいろと突っ込みたいところはあったが、期待に満ちたまなざしで僕の言葉を待つ沢田を見ていたら、それを口に出すタイミングを失ってしまった。
しかたなく
「・・・ありがとう」
と礼を言ってやると、彼の表情はまるで開花するときのように笑顔になった。
それを見た途端、僕の心臓は大きな音を立てて跳ね、熱が一点に集中してしまったように顔だけがかっと熱くなり、そこに立っているのが辛いほど落ち着かなくて・・・、
沢田の髪を力任せに掻き回してしまった。
「!? いてっ!いたいですひばりさんっ!!いきなり何すんですか!?」
沢田は涙目になっていたが僕は止めずに、
「出来は悪いが一応は出来てるからね、頭撫でてるんだよ」
「これ撫でてるっていいませんから!離してください!」
「ウルサイ」
逃げようとするのにムカついて、両手で思いっきり掻き毟っていたら、さっきの落ち着かない気分はだいぶすっきりとした。





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