■五月二十五日


朝応接室に入ると、ローテーブルに書類の山が置いてあった。
見ると、その山の上に「委員会資料。沢田さん用」とメモ書きがしてあった。
それは来週風紀委員内で配布される予定の資料だったが・・・沢田用というのは何なんだ。こんな雑用は風紀委員の下っ端にやらせるはずではなかったのか。
後で草壁に聞くつもりで放置し、そのままになった。
放課後、いつものようにやってきた沢田はそれを見つけると、瞳をきらきらさせながら
「俺の仕事ですね!」
と叫び、僕にどうやるのかと尋ねた。
こんな雑用を喜んでいるように見えるのがいささか不思議ではあったが、まあ本人が楽しそうなのでやらせることにした。
・・・が。
何故だ。何故こんなに手際が悪いのだ。
こんな五分で終わりそうな仕事をもたもたとやっている姿を見ているうち、だんだんと僕のほうが苛々してきた。
しかももういつもなら休憩に入っている頃だ。このままでは彼と話をする時間さえなくなってしまう。
我慢できなくなり、「もういい」と半ば強引に取り上げ、三分で終わらせた。
お茶にしようと言うつもりで顔を上げると、今にも泣きそうな沢田の顔が目に入り、その場で固まってしまった。



prev next
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -