■五月二十三日


約束どおり、昼休みに、沢田は弁当を二つ持ってやって来た。
礼を言って受け取ると、彼はまた立ったまま、もじもじとこちらを伺っている。全く、変なところで遠慮をする。
「座りなよ」
と言うと、やっとソファーに腰を下ろした。
茶を入れ、向かい合って弁当を食べ、終わると二人給湯室で弁当箱を洗う。
始業式の後、彼がここに通い始めた頃には考えもしなかった光景だと思い、そっと苦笑を漏らすと、沢田も気が付いて、
「・・・なんですか?」
と怪訝な顔をした。
「なんでも?」
と返せば更に顔を近づけ、口を尖らせる。
「なんか、莫迦にしてるでしょう・・・」
「いや?」
近づいた沢田からは、甘い匂いがする。拗ねた様なその顔は、あの女子なんかよりよっぽど



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