■五月十六日


登校時、服装チェックのために校門に立っていると、大勢の生徒たちの隙間から茶色いふわふわのくせっ毛が見えた。
鳥の巣みたいだと思いながら、こちらに近づいて来るのを待つ。
すると、ふにゃりと嬉しそうに話している彼の隣に、同じくらいの背の女子が歩いているのが確認できた。
彼女を知っている。
時々彼と一緒に居るのを目にする、あの同じクラスの、沢田より色素の薄い髪の女子だ。
彼女と楽しそうに話していた沢田は、僕の姿を見つけると、
「おはようございます!」
と元気よく挨拶をした。
そしてそのまま通り過ぎようとしたので、彼の首根っこをつかんで引っ張り、一言。
「校則違反」
「え、俺今日何にもしてない!」
僕は沢田を上からしたまで見回し、
「・・・髪跳ねてる。こんな頭で学校に来ていいと思ってるの?」
と、上から目線で言った。
「ええっ、これいつも・・・」
「何君、僕に逆らうんだ」
「あ・・・いえ・・・」
さっきまで反抗的な態度を見せていた沢田は、途端に小さくなった。
「生徒手帳出して。・・・ああ君、先に行ってていいよ」
僕は沢田と一緒に居た女子に声をかけ、彼の手帳に大きくバツを書いた。





            恐れながら委員長、
            それは公私混同というのでは・・・。 



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