■九月六日


今日も沢田は来ない。
迎えに行こうかとも思ったが、らしくなく躊躇してしまった。
僕には彼のためらいの理由が分からない。
応接室に引っ張って来て聞き出せばいいのだろうが、彼の元に向かおうとする度目の前にあの女の顔がちらつく。

本当に、僕らしくもない。

意を決して二年の教室を訪ねた時には、もう皆帰った後らしく、誰もいない室内の後ろの壁に貼られたプリントが風で静かな音を立てているだけだった。



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