■九月二日


雨が激しく降り続いている。

放課後、予想通りなかなか応接室に来ない沢田を迎えに、教室に向かった。
相変わらずのろのろと支度をしていた彼は、僕が迎えに来るのを予想していたのか、大して驚きもしなかった。
僕は黙って手を取り、応接室へと連れて行った。その間、二人とも一言も話すことはなかった。
二人だけの空間で彼のわだかまりを聞き出そうと思っていたのに、その切なそうな表情を目の前にすると、躊躇してしまう。
結局僕には、抱きしめて慰めるようなキスをする事しか出来なかった。

激しい雨が、窓ガラスを叩きつける。
轟く様なその雨音は、僕の焦りと沢田の不安に僅かにシンクロしていた。




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