わたくしと政宗様が付き合っていたのは公然の秘密だった。構内の全員が知っていたかもしれない。なんせ同じ指輪を左手の薬指にはめているし、一緒にすんでいて、行きも帰りも一緒だったから。

そして、政宗様と破局したいま、それも、付き合っていた頃と同様、構内のすみからすみまでが、それを知っていたように思える。

うわさでは政宗さまが浮気をしていたり、わたしが浮気をしていたり、わたしが、レズビアンだったり、政宗さまがゲイだったりした。若干噂も際どいところをいくけれど、そんな噂は多くが根も葉もないもので正直わたくしは、苛立っていた。

「せんぱあい。何で伊達せんぱいと別れちゃったんですかあ?」
「……お互い元々許嫁だったけれどどちらかといえば幼い頃から一緒にいたせいか、親友に近いのよ。だから、結婚はむりかしらとおもって。」


なんどこのテンプレートを口にしたろうか?政宗さまが幸村さまと結ばれたのを公言しないのは、ひとえに、わたくしのプライドを保つためだった。けれどいっそいってほしいと思うときもある。彼ら自身が幸せなことにはなんとも思わないのに、こうやって蚊帳のそとからとやかく言われたとき、わたしはきまって感じことのない、惨めさを感じるのだ

「めーごひーめさまっ」
「あらぁ、猿飛さん。」

そして、きまって、この軽い様子の忍が現れるのだ。まったく不思議になってしまうほど、彼はわたしが嫌な気持ちになるときにきまって現れるのだ。まさか、あの日の戯言を本気にしているわけではあるまい?わたくしはかれがよくわからない。

「竜の旦那が今日遅くなるってさ」
「そう……べつにわたくしに言わなくてもねえ。」

しまった、とおもう。かれといると、いつも余計な一言がぽろりと漏れてしまうのだ。それはわたしの苛立ちだったり、いかりだったり、そしていまのように惨めさだったりする。

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