塩味のケーキ
「………斉藤、さん?」

そう。確かに絵の下には斎藤一と書いてある。間違いない。日本史の先生に、これが斉藤一だといって渡されたんだ。だから、違いない。

でも。


「斎藤さぁぁ―――ん。」

ベッドにだいぶ!!

「あき!」
「斎藤さん!やっと会えたね!」
「馬鹿者!一週間も眠らなかったのか!?」
「へ?」
「ここに来るときはいつも眠っているときだろう!」
「え、あの、」
「なにかあったのか!?どうして眠りもしなかった!」
「いや、あの、来ても斎藤さんが……」
「?…俺が?」
「いないんだもん……。」
「は?」
「斉藤さんがいなかったのぉ!!」
「え、は?」


三十分後。


「それでねっ、斉藤さんがいないからっ、斉藤さん、私のことっ私のことっ嫌いになったかと思って――!!」
「あぁ、わかったから。少し落ち着け。」
「よかった、斉藤さん、帰っちゃったかと思った……っ」
「帰りたくても帰れないからな。……それより何か用でもあったのか?」
「あ、あのね!」

斉藤さんわたしといれかわったとき新選組のビデオ見ちゃったんだよね!すごく最悪な末路っぽかったけど本とは違うんだよ。いやううん、ほんとはあっちだって言ったほうがいいのかもしれないけど、斉藤さんたちの新選組とあのビデオの新選組は別物なの!なんでわかるかっていうとねこの世界の斎藤一さんの写真見たけど、斉藤さんとはめっちゃクチャ別人だったの。斉藤さんみたいに美しくないしかわいくもないのよ!!

「わかった!?」
「いや…あぁ。わかったが、俺は端から気にしてはいない。」
「うそ!」
「だってずっと会えなかったじゃない!」
「いやそれは俺だってよくわからない理由だといっただろう!」
「あ、そっか!!」

安心して笑うと斉藤さんもあきれたように笑って、私の頭に手を軽く置いた。

「……斉藤さん?」
「それに、俺はあのビデオはもとから気にしていないのは本当だ。」
「本当?」
「本当だ。……未来を創る権利を持っているのは、今を生きている人間だけだろう?」
「……っうん!」


斉藤さん大好きだよ―――っ!!


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20111212



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