すいか味の蜂蜜
『ん………。どこ、ここ…』
眠い目をこすりながら起きるとあたりは草原だった。草原なんだけれど、たしかに手に当たるこの感触は草だけれど其処は不思議と土の感触がしなかった。更に風もなければ人もいない。声は自分の声だけが妙に響く。
しかし、来たことがあると思った。
<ちょ……、あんた、……!>
<な…ゆ…。>
『こえ…』
遠くから声が聞こえると思い辺りを歩くと少ししたところに池があった。その池を覗き込む。
『あたし……』
そこにいるのは部屋の机に向かってなにやら紙に文字を書いている私。私は今此処にいる。ということは。
『斉藤さん……』
<!おまえ、は>
『うわあ、聞こえるの?』
『成程、心の中で会話ができると。』
『うん!すごい進歩したねえ!』
『進歩、かどうかは分らない…が、…』
『ううん!すごい!これで紙を使わなくても話せるんだ!』
『そ…か…、も…そうは…かす…む……』
『あれ、斉藤さん?』
斉藤さんの声が聞こえなくなってきたと思ったらいきなり自分の部屋に引き戻されていた。声がかすれたのは入れ替わる前兆だったらしい。
「すご……」
斉藤さんの声、初めて聞いた。なんかかっこよかったけど可愛かったなぁ……
「すげええええええ!!」
「うるせえ!いいかげんにしろや!」
「しょうがないよ!だって私斉藤さんと話しちゃった!」
「あぁ?ばっかかお前!斉藤ならお前の隣りの席じゃろが。」
「違うよ!斉藤一さんだよ!」
「……あほか。斉藤一は江戸時代の新撰組じゃ。話せるわけなかよ。」
「だけど、ってえ?新撰組いいいい!!??」
「せや。参番組の組長だったやんか。たしか。」
「………す、」
「「す?」」
「すげええええええええ!!!!!!」
「「うっさいわ!!!」」
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20111011
やっと気がついた。