出発は3月14日。午後8時36分の飛行機。いつ出発がいいと聞かれて即座に答えていた。少しして気づく。その日は千尋さんの出発日だ。

ハルさんには手紙を書いた。直接は言わなかったけれど、ハルさんはなんとなく分かっていたんだと思う。それを感じられて安心した。文字を残されて不意に消えられるその痛みを私は知っている。


「小豆、楽しみだな。」

私は幸せだ。感じるのは、それだけだ。お兄ちゃんも戻ってきてくれたし、お父さんもきっともう大丈夫。これからくる生活が希望に満ち溢れたものだと分かっている。自分でも不思議に思うくらいまるで未練はなかった。その気持ちに偽りはない

飛行機の窓から見える暗い空に千尋さんを描く。それがどれだけ愚かなことは分かってるけど、そうせずにはいられなかった。

「うん!」

その気持ちに嘘はない。

8時35分。
飛行機がでるまであと1分。


私の恋が終わるまでのカウントダウン。

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実はあといちわなんだ。

ほんとに気持ち悪い話で
すいません。


20110719








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テーマ「人外ファンタジー」
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